インフォメーション 1
見事な発色のカラーチップから、新たなセキュリティ対策まで。
素材に向き合い続けて開く未来/太平化学製品株式会社
身の回りにあるクレジットカードやビルの冷却設備、マニキュア。そうした製品の素材を製造しているのが、太平化学製品㈱です。競技用ゴーグルの曇り止めシートを日本で唯一生産するなど、戦前から培ってきた技術力と素材への深い知見で、日々の生活から高い水準が求められる環境にまで対応した製品を作り続けています。
今回は取締役 樹脂事業本部長の藤谷昌弘氏と、草加製造部長の西村明広氏に、事業と技術、そしてポリ塩化ビニル(PVC)のリサイクルの取り組みについて伺いました。
太平化学製品株式会社
1908年創業、1938年設立。硝化綿を祖業に、硬質PVCなどのフィルムやシート、プレートを製造販売する合成樹脂部門と、高品質なインキやトナー、コーティング材用原料のカラーチップを製造販売する化成品部門の2部門を展開する。埼玉県川口市に本社・川口工場、草加市に草加工場を置く。
硝化綿製造から生まれた2つの部門
合成樹脂部門を担う草加工場では、硬質PVCをはじめ多様なフィルム、シートを製造しています。一方、化成品部門を担う川口工場では、顔料を微細に分散させたカラーチップを塗料、インキメーカーに提供しています。
現在の2部門体制に至ったきっかけは、1908年の創業時に営んでいた硝化綿製造にまでさかのぼります。当時、硝化綿はラッカー塗料のように板を補強するためのコーティング材やセルロイド板の原料として使用されていました。そこから「色をつけたい」というニーズが生まれてカラーチップへ、燃えやすかったセルロイドに代わって「燃えにくい板が欲しい」というニーズが硬質シートへ展開したのです。顧客や社会のニーズに応えながら技術を広げてきたあゆみが、現在の体制を形作っています。
「分散」がカギ。美しい発色を生むカラーチップ
同社の化成品部門の核心は、高分散技術にあります。顔料粒子を超微細化することで、塗料やインキに使った際に高い光沢、透明性、発色が生まれるのです。「カーボンを普通に混ぜるだけだと白けた黒になりますが、超微細に分散することで漆黒のような深みのある黒が出てきます」と藤谷氏。粒子は、細かいほど下地が透けて見えるようになり、銀色のメタリック下地の上に塗ると、下地の輝きを生かしたまま鮮やかな発色が得られるのです。これにより通常の顔料では出せない、透明感と光沢を兼ね備えた色が生まれます。
同社のカラーチップは、マニキュアやインクジェットインキ、自動車内装塗料など、高い品質が要求される用途で活用されているといいます。「一般的な塗料メーカーやインキメーカーに出せない色を出す、顔料分散の技術を認めていただいている」と藤谷氏は胸を張ります。
セキュリティを守る、モノづくりの力
同社が最近開発したのが、レーザー発色に対応したカード用シートです。クレジットカードや各種IDカードに使われるこのシート。通常のカードは印刷部を剥がして新しいものを貼り直せば偽造される可能性がありますが、レーザー発色ではシート内部の層だけを焼き切って情報を書き込むため、改ざんが極めて難しいといいます。「セキュリティニーズが高まる中で採用が広がっています」と藤谷氏。このシートは、ここ草加で研究、開発、製品化されたものの一つです。
また、クーリングタワー(冷却塔)の充填材も同社のPVCでできています。上から水を垂らしながら下から空気を当てて冷却する装置の内部に、塩ビシートを成形した部材が使われています。高い耐久性、耐熱性に加え、コストや成形性、そしてリサイクル性など、PVCならではの特性が、選ばれる理由になっています。

顧客を巻き込んだ循環型リサイクルの取り組み
同社はリサイクルへの取り組みにも力を入れています。草加工場では、シート成形時に発生する端材をその場で回収・粉砕し、同じ原料として再使用する循環システムを確立し、工場内での廃棄物を削減しています。
それだけでなく、加工会社とリサイクルの取り組みも進んでいます。例えば、クーリングタワー充填材。成形加工時に発生した端材をメーカーから回収し、再粉砕して充填材シートの原料に戻しています。アクリルの照明カバーでも同様のシステムを運用中。各形状に抜いた残りの材料を顧客に返却してもらい、工場で粉砕・再生してシートに戻しています。「同じ素材ですから、返していただければもう一度同じ製品にできます」と西村氏。素材を無駄にしない設計と回収しやすい仕組みづくりが、同社のモノづくりの根底を支えています。
高分散技術とシート製造技術を核に塩ビの特性を最大限に活かしつつ、リサイクルにも取り組む。顧客のニーズに応えながら積み重ねてきた技術力を武器に、太平化学製品の挑戦は続きます。

同一の製品の原料として再利用する。

チップにして再利用する。
