トピックス 3
生み出し、組み合わせ、解析する。
開発サイクルを回して多様な製品を作り続ける/住友ベークライト株式会社
1907年にベークランド博士が開発したフェノール樹脂を源流に、100年以上にわたってプラスチック素材の研究・開発・製造を続けてきた住友ベークライト㈱。半導体封止材から医薬品包装フィルム、防水シートまで幅広い製品群を擁し、その一部にポリ塩化ビニル(PVC)が深く関わっているといいます。今回は、総務本部コーポレート・コミュニケーション部の植田毅部長と松澤南欧美氏に、同社の強みと特徴的な塩ビ製品についてお話を伺いました。

住友ベークライト株式会社
1932年設立。「プラスチックの可能性を広げることで、持続可能な社会を実現する」をパーパスに掲げ、半導体関連材料・高機能プラスチック・クオリティオブライフ関連製品の3事業セグメントを展開。世界39か所に生産拠点を構えるグローバル企業として、ICTやモビリティ、ヘルスケア、食品包装や建築材料を扱うライフイノベーション分野まで幅広い製品を世界中に届けている。
半導体から暮らしまで
——3つの事業セグメントを展開
住友ベークライト㈱の事業は3つのセグメントで構成されています。
「半導体関連材料」は世界シェアNo.1の半導体封止用エポキシ樹脂成形材料をはじめ、最先端の半導体を支える製品群です。培ってきた技術を活用し、現在では電動化が進むモビリティ分野へも展開しています。「高機能プラスチック」は、自動車、航空機、エレクトロニクス向けを中心にフェノール樹脂成形材料などを展開。AI・データセンターやEV(電気自動車)向けの需要の高まりを追い風に、次世代製品の開発も進んでいます。「クオリティオブライフ関連製品」は、医薬品PTP(プッシュスルーパッケージ)包装フィルム、医療機器、防水シートなど人々の暮らしや健康に直接関わる製品群を提供しています。
「私たちが研究・開発・製造した素材が、お客様の製品に組み込まれる形で世の中に届いています」と植田氏がいうように、同社の製品は、BtoB型のビジネスを通して、日々の生活を支えています。
高い機能性と安全性を誇る
設計から加工、評価解析まで一貫して担う強み
住友ベークライト㈱の特徴は、「材料設計」「加工・複合」「評価解析」の3つを自社で一貫して担える技術基盤があること。
「材料設計」では触媒技術を活用することで、新しい機能を持つポリマー・モノマーを合成しています。これにより社会のニーズを捉える素材を自ら生み出すことが可能です。
「加工・複合」では自社で開発した素材や外部から調達した素材を配合・混合し、熱伝導性・電気絶縁性・低誘電性など複数の特性を満たす材料を作り上げています。単一素材では実現できない性能を、素材の掛け合わせによって実現するのが同社の技術力です。
「評価解析」ではシミュレーションや構造解析を活用することで、データを可視化。短期間で、顧客の求める樹脂や複合材料を開発することが可能です。
素材を生み出し、組み合わせ、解析し、それをふまえてまた新たな素材を生み出す。この開発サイクルこそが、住友ベークライト㈱の強みの源泉です。
PTP包装材から防水シートまで。PVCが活躍する製品群
クオリティオブライフ関連製品の中で代表的なのが、PVCを使った医薬品PTP包装フィルムです。指で錠剤を押し出すお馴染みの包装フィルムは、同社が1962年から供給を続け、国内では約70%のシェアを誇っています。実は、薬剤ごとに紫外線遮断、防湿、防酸化など求められるバリア機能は異なります。これに対し、層構造にすることで複数の機能を同時に実現しています。「最近は高齢者の方から硬いと押せないという声も頂戴しているので、薄くしながらも必要な機能が損われないようにする開発にも取り組んでいます」と植田氏はいいます。
また、PVCを使った防水シートも主要領域のひとつです。住宅メーカー向けに国内で高いシェアを誇り、耐候性・長寿命化への要求に応える技術開発を続けています。太陽光発電パネル設置用の防水シートと一体型のアンカー部材も展開しており、「軽量な一体型構造を開発したことで作業者の負担が減り、設置が早く済みます」とメリットを紹介しました。このほか、電車の内装壁材や医療機器カバーにも活用され、それぞれ耐衝撃性や成形のしやすさ、耐薬品性や腐食しにくさなどのPVCの特性を活かした製品を展開しています。

リサイクルが容易な「モノマテリアルPTP」

PTP包装材料
プラスチックの可能性を広げ、暮らしを支え続ける
フェノール樹脂のパイオニアとして積み重ねた100年超の技術を基盤に、住友ベークライトは半導体から医療・建築まで多様な分野でプラスチック素材の可能性を広げ続けています。PVCもその重要な素材のひとつとして、多様な製品群を通じ、人々の暮らしを確かに支えています。
