2025年03月 No.124 

インフォメーション 2

水インフラを支える「スリム内副管用マンホール継手」
/前澤化成工業株式会社

 前澤化成工業㈱は、水インフラに関する製品を幅広く開発しているリーディングカンパニーです。「スリム内副管用マンホール継手」は、マンホールでの作業性向上や流路を楕円形にした押出成形技術が評価され、「PVC Award 2023」で優秀賞を受賞しました。今回は「スリム内副管用マンホール継手」の開発経緯について、前澤化成工業㈱ 研究開発本部 製品開発部 部長 山㟢哲司氏、課長 大島ゆかり氏、井橋拓海氏、松本笑未香氏にお話を伺いました。

前澤化成工業株式会社

 1954年に昭和製作所(現・前澤工業株式会社)の樹脂部門が独立して硬質エンビ工業株式会社(現・前澤化成工業株式会社)を設立し、わが国初の水道用塩ビ継手(KM継手)の製造・販売を開始。以降、安全・安心な水の供給と排水処理に欠かせない様々な上下水道関連製品を世に送り続けてきた。同様に昭和製作所を前身とする関連会社に前澤給装工業㈱、前澤工業㈱があり、快適・安全な住環境の向上に貢献している。

「PVC Award 2023」優秀賞受賞「スリム内副管マンホール継手」

 前澤化成工業㈱は、上下水道関連製品では硬質塩化ビニル管や継手、水栓柱、量水器ボックス、災害対策製品では雨水貯留浸透ユニット、後付け逆流対策弁など、水インフラを支える豊富な製品を取り揃えています。中でも「PVC Award 2023」で優秀賞を受賞した「スリム内副管用マンホール継手」は、前澤化成工業㈱の塩ビ成形に関するノウハウと技術力が集結した製品です。
 副管とは、マンホールに下水が大きい落差で流入する場合に、下水の飛散防止や施設への影響を緩和するために設置されるものです。合流した配管同士の高さが異なる場合では、下水の落差が大きいことでマンホールの側面や底面が削れて壊れてしまうことを防いでいます。
「従来は外副管という地中に埋めるタイプのものが主流でしたが、何かトラブルがあったときに確認できず、直しにくいというデメリットがありました。また、地震によって埋設部の部材間で亀裂が発生してしまうことも報告されており、改修に大掛かりな工事が伴う可能性もありました」(井橋氏)
 そこで前澤化成工業㈱では、マンホールの中に配置する内副管を開発・展開していました。今回リニューアルされた「スリム内副管用マンホール継手」は、内副管のスリムタイプです。
「内副管の最大のデメリットは、マンホールでメンテナンスをする空間が狭くなってしまうことでした。そこで、配管を薄い楕円形状に改良した結果、断面積は通常の円形配管と同じでありながらも、従来よりも作業員の活動空間を広く取れる製品になりました」(山﨑氏)

写真:「PVC Award 2023」優秀賞受賞「スリム内副管マンホール継手」

長年の改良を経て誕生したスリム型

 前澤化成工業㈱で内副管の販売を始めたのは今から20年以上前になります。最新型の「スリム内副管用マンホール継手」に至るまで、ユーザーからの意見を反映して段階的に改良を重ねてきたそうです。
「今回のスリム内副管のように大型の射出成形品になるとやはり成形が難しくなります。 塩ビ自体が流動しにくい樹脂であること、熱収縮による変形が大きいことによってさらに成形上の工夫が必要になります。特に本製品は接続するパイプの寸法と合致させるため、精密さが重要です。長年のノウハウで絶妙な楕円形状を完成させました」(井橋氏)
 楕円形状を成形する上で様々な工夫を凝らした結果、塩ビの優れた耐久性と重量が軽いというメリットが生きた製品が実現しました。また配管同士を接着する際にも市販の接着剤で簡単に接着でき、施工性にも優れています。

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「製造する上で難しい技術が求められるとしても、作業者の利便性を重視した製品改良に挑戦していきたいと考えています。『スリム内副管用マンホール継手』ではスリム型にしたという大きな変化以外にも、点検口を大きく取って機械での点検もスムーズにできるようにするなど、様々な部分で改良を重ねています」(大島氏)

塩ビ製品で重大事故を未然防止

 前澤化成工業㈱では「スリム内副管用マンホール継手」のように、塩ビの耐久性を生かした上下水道の重大な事故の未然防止につながる製品を数多く手掛けています。新製品の「コンクリート改修マス」は、既設コンクリートマスの老朽化対策を行うための製品です。
「コンクリートマスがボロボロになってしまっていたとしても、塩ビ製マスに切り替えられる画期的な製品です。新しいコンクリートマスへの取り替えだと時間も費用もかかってしまいますが、『コンクリート改修マス』を使うと数時間で作業が完了できます」(井橋氏)

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「自治体の方では老朽箇所や危険箇所の把握が進んでいる一方で、費用や時間、作業員の確保が難しく、思うように対策が進んでいないのが現状だと感じています。当社としては、これからも塩ビ製だからこその長所である施工性やコストに優れた製品を送り出し、安全な水インフラの構築に貢献していきたいです」(山﨑氏)
 豪雨災害の激甚化・頻発化や上下水道の老朽化が大きな問題として注目されている中で、前澤化成工業㈱の製品が果たす役割は今後さらに大きくなっていくでしょう。

写真:お話しいただいた松本氏、井橋氏、山﨑氏、大島氏
お話しいただいた松本氏、井橋氏、山﨑氏、大島氏