多面体から生まれた華やかなランプシェード「Bloom lampshade series（ブルームランプシェードシリーズ）」／有限会社アスポ

正多面体をベースとしたデザイン

　「Bloom lampshade series（ブルームランプシェードシリーズ）」を手掛ける雨宮氏は、元々テキスタイルデザインなどの平面デザインを専門とするデザイナーでした。
　そして、ある時から平面の多角形から構成される立体に興味を持つようになったそうです。その結果、現在は多面体の原理を応用した照明器具や花瓶などのデザインを行っています。
「デザインの基本になっているのは、ギリシャの哲学者プラトンが最初に発見した正多面体です。全ての面が互いに合同な正多角形で作られた図形は、正四面体、正六面体、正八面体、正十二面体、正二十面体の5種類。これら正多面体の組み合わせが、様々なデザインの元になっています」（雨宮氏）

空間を彩る「Bloom lampshade series」

　正多面体の構造を基本として、花の形に仕上げたランプシェードのシリーズは「Bloom lampshade series」として商品展開されています。
　通常生産品では、ポリプロピレンのシート生地を使用して、アトリエにてレーザーカッターで手作りしているそうです。
　一方で、「PVC Award 2023」で入選した本作品は、塩ビシートの販売・加工を行う森松㈱の牧野光昌氏との共同開発によるもの。
「牧野さんとは以前から交流があって、展示会などに来ていただいたこともありました。ある日、牧野さんから塩ビシートを使って何か作れないかという提案がありました。『光を当てるとかなり面白い雰囲気になる』いくつかの生地を紹介してもらい、その中から2種類の生地を組み合わせて作ったのが、今回の入賞作品です」（森本氏）

「塩ビシートはポリプロピレン製に比べて硬さがあるため、構造を作る際には無理なく形状を維持するために、シリーズの中でも『ブロッサム』の形を採用しました」（雨宮氏）
　本作品は、接着剤を使用せずに組み立てられるため、モノマテリアル製品という点で環境に優しい設計になっています。
「色々な立体をデザインしてきましたが、ランプシェード以外の用途の作品も数多くあります。猫用のペットハウスはその一例で、樹脂素材で作ることで汚れたらすぐに洗えるというメリットがあります。しかもパーツを部分的に変えることもできるので、傷ついても長く使えます。ペットハウスは丈夫さも求められるため、今後塩ビシートでも作れるかもしれません」（雨宮氏）

知育の領域での活用に期待

　雨宮氏は、幼稚園から大学までの一貫教育を行う大学に在職中、幅広い年齢層の子供たちと多面体を組み上げる授業を行う機会が多くあったと言います。
　その中で、特に小学校低学年では、一度多面体の作り方を教えると、最初は難しそうにしていても、やる度にどんどん早く作れるようになる姿を見てきたそうです。
「子供たちの様子を見ていると、多面体を組み上げる能力のピークは10歳から12歳くらいだろうということがわかってきました。つまり、それまでの間に子供たちに多面体に触れてもらうことが、空間を把握する能力を伸ばす上で非常に重要だとも考えられるでしょう。
　私たちの作品は多面体で遊びながら立体的な思考を身につけられるという点で、知育の領域でも関心を持ってもらえるのではないかと思っています。だからこそ作品づくりを通じて、多面体を使った立体造形をどんどん世の中に広めていきたいですね」（雨宮氏）

展示会のお知らせ

多面体の発展～内なる形への探訪～
12／9（月）−13（金）
10：00～18：00［9（月）は16：00～18：00］
名古屋大学／ギャラリー「clas」
※ギャラリー「clas」では、ガラス越しにご覧いただく展示スタイルです。

Stella 21 第26回星の展示会 冬展
12／18（水）−22（日）
10：00～18：00［22（日）は10：00～17：00］
7th Cafe（セブンスカフェ）
名古屋市中区栄3丁目18番1号ナディアパーク内
デザインセンタービル7F

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