リサイクルの現場から
タイルカーペットの再資源化拠点、
リファインバース㈱が支える
水平循環型リサイクル
廃棄タイルカーペットの回収から、塩ビ再生材料「リファインパウダー」の製造まで、タイルカーペットの水平リサイクルを支えているリファインバース㈱。千葉工場(千葉県八千代市)とイノベーションセンター(富津市)の2つの拠点にて、タイルカーペットの塩ビ層(バッキング材)と繊維層の再資源化を進めています。今回は千葉工場を訪問し、素材ビジネス部 アカウントマネージャー 中路敦之氏にお話を伺いました。
リファインバース㈱
リファインバース㈱は、2003年に設立された再生素材メーカー。産業廃棄物の収集・運搬や中間処理から再生素材の製造までを行う。廃棄物の性質に合わせた独自の分離技術により、高品質な再生素材を生み出している。また、製品の水平リサイクルを目指す企業に対しては、廃棄物回収のフロー構築から再生素材の製品利用にいたるまでを提案・支援している。
廃棄タイルカーペットを回収・加工
国内のオフィスビルは東京を中心とした首都圏に集中しているため、オフィスの改装に伴い発生する廃棄物も、首都圏からのものがとても多くなっています。
リファインバース㈱は、工場立地の良さを活かして、首都圏から排出される使用済みタイルカーペットのリサイクルを推進。これまで使用済みのタイルカーペットは、デスクなどの什器と共に埋立処分されていましたが、中間処理業者の協力を得て、タイルカーペットだけを選り分け、リファインバース㈱の工場に持ち込んでもらえるようになりました。
「廃棄タイルカーペットは、廃棄するにあたって細かく裁断する必要があるなど、中間処理業者の手をわずらわせる製品でもありました。リファインバース㈱が廃棄タイルカーペットを引き取ることで、中間処理業者の困りごとを解決することもできています」(中路氏)
再生塩ビ材「リファインパウダー」
千葉工場に持ち込まれた廃棄タイルカーペットは、処理が可能かどうかを作業員が一枚ずつ判断。バッキング材が塩ビ製でないものや、塗料が付着していたり、激しく損傷しているものなどをあらかじめ除外します。その後、バッキング材の切削という独自開発のプロセスを経て、繊維層とバッキング材とに分離します。切削と同時に粉状になったバッキング材部分は、分級(大きな粒子と微粉を除去)することで粒の大きさを整え、再生塩ビ材の「リファインパウダー」として出荷されます。
「千葉工場とイノベーションセンター併せて年間約20,000tの使用済みカーペットを再資源化しています。大規模な回収と再資源化が実現したからこそ、再生材をバージン樹脂よりも価格を抑えて提供できています。
使用済みタイルカーペットの回収スキームは、他の処理業者のみなさんにタイルカーペットを選別してもらうことで成立しているため、リサイクル活動を周知し、賛同してもらうことが重要なポイントになっています」(中路氏)
扱いやすい再生材を目指した製品改良
タイルカーペットは、メーカーが異なっても寸法規格が決まっているため、再資源化のための切削処理がしやすい製品だと言います。
加えてバッキング材の塩ビは、再資源化の過程での劣化が小さく、異物が多少混入しても性能の低下が少ない素材。そのため、「リファインパウダー」も非常に高品質な再生材に仕上がっています。
「リサイクルの理想は、廃棄タイルカーペットから再び新しいタイルカーペットを作る、水平リサイクル。再生材のユーザーであるタイルカーペットメーカーのアドバイスを受けて、粒の大きさなどの微調整を重ねていますね。メーカー各社様との意見交換を続けて、日々、『リファインパウダー』の品質向上を目指しています」(中路氏)
現在では、エコマーク認定を得ている多くのタイルカーペットで『リファインパウダー』が採用されています。
「タイルカーペット同様、本来はリサイクル性能が非常に高い製品でも、今なお廃棄されている製品が多いのが現状です。リファインバース㈱では、これからも使用済み製品の回収システムを、メーカーの皆さんと一緒に考えていきたいです」(中路氏)