インフォメーション 2
抗ウイルス製品開発をリードする、リケンテクノス㈱
塩ビ素材の「リケガードV ソフト」も登場。
簡単切り貼りの使いやすさが人気
新型コロナウイルスの流行で抗ウイルス製品へのニーズが高まる中、他社に先駆けて積極的な開発を進めてきたのが、リケンテクノス㈱(常盤和明社長、本社東京都千代田区)。豊富なラインナップの中には、塩ビフィルムを利用した製品も仲間入り。安心のSIAAマーク付と、簡単に切り貼りできる使いやすさで普及を拡大しています。
抗ウイルス性認証フィルムの第1号
上の写真は、リケンテクノスが今年7月に発売した「リケガードV ソフトシート」(家庭用)。抗ウイルス性と抗菌性の両方で「SIAAマーク」(一般社団法人抗菌製品技術協議会が発行する認証マークでISO22196法により評価された結果に基づき、同協議会ガイドラインで品質管理・情報公開された製品に表示される)を世界で初めて取得した「リケガードフィルム」シリーズのひとつで、基材に軟質塩ビフィルムを用いているのが特徴。6月に先行発売されていた業務用の好評を受け、改めて家庭用として市販されたものです。
湾曲部位に自在に追従
「リケガードフィルム」の最大のメリットは、言うまでもなく、その抗菌・抗ウイルス性能の高さにあります。抗ウイルス性に関しては、エンベロープ(脂溶性の外膜)の有無で2種類に分類されるウイルスのいずれにも有効で、フィルム表面に付着したウイルス数を24時間で99.99%まで減少させる力を持っています。抗菌性に関しても同様で、表面上の細菌(黄色ブドウ球菌や大腸菌)の増殖を 1/100以下に抑制します。
「リケガードV ソフトシート」は、こうした抗ウイルス・抗菌性能に加えて、軟質塩ビならではの柔らかさを備えている点が大きな魅力。ドアノブや冷蔵庫等の把手、階段の手すりなど、湾曲した部位に自在に追随して、バツグンの施工性を発揮します。
もちろん、エレベータや券売機のボタン、自販機の商品の取出口、家電のスイッチなど、人の手が触れる部位全般に使用可能。施工方法も簡単で、鋏で必要な大きさに切り、台紙を剥がして目的の場所に貼り付けるだけ。剥がすのも容易で、シートの下に気泡が残りにくい加工も施されています。
ラインナップの豊富さが強み
研究開発センター・フイルム開発室の鈴木清隆室長によれば、同社が感染症防止の製品開発を本格化したのは2015年ごろから。
「当時はノロウイルスやO157などの問題が相次いでいた時期だが、当社は前期3ヵ年中期経営計画(2016年策定)で『すべての生活空間に快適さを提供する』ことを経営方針としており、この方針に基づいて、インフェクションコントロール材料として『抗菌』『抗ウイルス』『防虫』の3つをテーマに、コンパウンド、フィルム両部門で製品を充実させてきた」
「リケガード」は、それらの感染症予防製品全般に与えられたブランド名で、このうち、抗ウイルス製品については、コンパウンド製品としてPVC系、TPE(熱可塑性エラストマー)系、PP系の製品を既に上市済み。フィルム製品としては、2019年秋にSIAAマークを取得した上で、PET系、アクリル系、そして塩ビ系の「リケガードV ソフトシート」と、適材適所の製品開発を進めてきました。
「このラインナップの豊富さが当社の強み。PVCコンパウンドメーカーとしてスタートして以来、伝統的にカスタマーグレードのコンパウンドを展開しているため、引き出しが広く、時代の変化も常に注視している。SIAAマークについても、抗ウイルス製品の認証制度がなかった頃から準備を進めてきた結果、去年7月の基準制定と同時に申請を行い、第1号のマーク取得製品になることができた」(研究開発センター・コンパウンド開発室の若山央明室長)
家庭、商業施設、学校、病院etc.
「リケガードV ソフトシート」は、一般家庭はもちろん、ショッピングモールなどの商業施設や、学校、病院、フェリーの船内など、多方面で普及が進んでいます。
「やはりSIAAマークに対する安心と信頼が大きい。家庭用はドラッグストアなどで販売中だが、柔らかくて加工しやすいのでお客さまには大変好評です。抗ウイルス効果は確実に1年以上保持するが、お客様には半年での貼り替えをお勧めしています」(営業本部デイリーライフ&ヘルスケアビジネスユニットの家田大毅グループリーダー)
コロナ禍が広がるまでは、「抗ウイルス製品といってもなかなかお客様に理解してもらえなかった」(若山室長)とのことですが、鈴木室長は「今年の2月から風向きが変わった。市場の反応は強いし、お問い合わせもたくさんいただくようになった。抗ウイルス製品をいろいろな場所に貼り付けて感染を防止するという方法は、間仕切りなどに比べて普及が遅れていたが、今後は需要の増加に伴って、ポピュラーな感染症対策として広がっていくだろう」と見ています。
リケンテクノス株式会社
戦後の財閥解体により、理化学研究所から分離した塩化ビニル開発部門の流れを汲む化学メーカー。1951年、塩ビコンパウンドの商業生産販売を目的に「理研ビニル工業㈱」として設立され、同年6月、大田区羽田で塩ビコンパウンドの製造を開始。1966年、日本初の塩ビ食品包装ラップを開発した。2001年の創業50周年を機に現社名に変更。創業以来培われてきた合成樹脂加工に係わる総合的な技術をベースに「コンパウンド事業」(軟質・硬質塩ビコンパウンド、熱可塑性エラストマーコンパウンドなど)、「フイルム事業」(建材・建装材フィルム、商業・広告用フィルムなど)、「食品包材事業」(塩ビラップなど)の3事業を柱に国内外で事業を展開している。