特集 健康と塩ビ製品 インタビュー
電線に魅せられて
女優・石山蓮華さんの偏愛的電線論
- 女優 石山 蓮華 氏
電線は大切な社会インフラのひとつ。とはいえ、電線地中化の進む昨今、景観的には疎ましく感じる人も多いのでは?女優・石山蓮華さんは、「塩ビ電線に触っていると安心する」というほどの、自他共に認める電線マニア。そのユニークな審美眼は、電線の知られざる魅力に気づかせてくれる。
赤羽の電線
─石山さんが撮影した写真を拝見すると、電線や電柱の様々な表情が切り取られていて、電線愛の本気度を感じます。一体、どんなキッカケで電線好きになったのですか?
「子どもの頃、父の会社が赤羽(東京都北区)にあって、今はだいぶ様子が変わりましたけど、当時の赤羽は入り組んだ路地とか飲み屋街とかが多くて、そういう所を父と散歩していると、ビルのすき間などからたくさん電線が見えるんですね。それがとても気になって、同じ電線でも、配線のされ方とか曲がり方とか、ひとつひとつ生き物みたいに個体差があるのも、面白いなあって思っていました。
あと『エヴァンゲリオン』とか『攻殻機動隊』といったSFアニメにたくさん電線が出てくるんですけど、それもカッコよくて好きでした。その後、高校で写真部に入って街の風景などを撮影するようになると、改めて電線が面白くなってきて、どんどん研究も進んで、結局、芸歴より電線歴のほうが長くなってしまいました」
頑張ってるね、電線
─電線のどういうところに惹かれるんですか?
「どんな手触りなんだろうとか、いろいろ想像しながら眺めているのが楽しいんです。長いこと敷設されて経年変化した電線を見ると、スゴいな、頑張ってるんだなと思って、シミジミしたり。急いでいる時でも、気になる電線があるとギリギリまで撮影しちゃいます。大まかに言うと、地方の裏町の飲み屋街とか、東京でも北区とか蒲田のような都心をちょっと外れた街のほうが、見ていて面白く感じる電線が多いですね。
もちろん、眺めるだけじゃなくて、実際に手にした時の固さや重み、被覆の触り心地とか、そのひとつひとつが楽しいし、それぞれの素材がどんな機能的な理由があって使われているのか、もっと知りたいなと思います。
私は、塩ビ被覆のしっとりした手触りが好きで、舞台の仕事なんかで緊張した時に、舞台裏で機材用の配線にそっと触ってみたりすることがあります。触っていると気分が落ち着くんです。スタッフさんには怒られたこともありましたけど」
電線ランドの夢
─電線ランドを作るのが夢、とのことですが。
「別に大げさなことを考えているわけじゃなくて、小さくても、あらゆる種類の電線が密集している部屋みたいな空間があったら面白いだろうなって思うんです。電線のビジュアルを体感できて、それぞれの固さや重さの違いも確かめられるような場所になればと思います。電線のどこがどんなふうに良いのかを伝える言葉や写真も紹介したいし、どなたか興味をお持ちの方がいらっしゃったら、ぜひ一緒に作りたいですね」
─これからも電線のある美しい風景をどんどん発見してください。
「電線や電柱というと、昔は映画や漫画なんかでも哀愁漂うものとして描かれることが多かったようですけど、私の写真は、意外に見付けられていない電線のクールなところとか、ケナゲなところ、生々しく感じられるようなところを発見できたらいい、と思っています。
とにかく、電線は知れば知るほどすごい。私はそこに感動するので、この自由研究は、ずっと末永く続けていくつもりです」
石山蓮華さんのプロフィール
1992年、埼玉県生まれ。小学生時代からテレビドラマ・CM ・映画・舞台などで活躍。電線愛好家の女優として独自の立ち位置を確立し、テレビ、ラジオ、イベント、トークショーなどで、熱い電線愛を語り続ける一方、公式ブログ(https://note.mu/densenraisan)などを通じて多彩な電線写真を発表している。2019年、日本電線工業会「電線の日」スペシャルコンテンツを監修。また、同年にリリースしたオリジナルDVD『電線礼讃』(アミューズソフト、写真下)では、プロデュース・出演を務めて話題となった。同人誌『電線礼讃』の通販も好評(https://densenraisan.thebase.in/)。
主な出演作に、日本テレビ系情報番組「ZIP!」(レギュラー)、読売テレビ系バラエティ番組「ワケあり!レッドゾーン」、アニメ映画「思い出のマーニー」(エミリ役)、舞台「五反田怪団」「独特な人」など。文筆家としても、「Rolling Stone Japan」(フォレスト出版)「月刊電設資材」(電設出版)「母の友」(福音館書店)「週刊朝日」(朝日新聞出版)などのほか、「She is」「ホンシェルジュ」など情報ウェブサイトにも多数寄稿している。 現在フリーランス。