2026年03月 No.126 

トピックス 1

耐震性と経済性を両立する水道管・RRロング管。
「2025広島水道展」出展/塩化ビニル管・継手協会

 2025年10月29日から31日の3日間、広島市の「ひろしまゲートパーク(旧広島市民球場跡地)」において、国内最大級の水道関連展示会「2025広島水道展」が開催されました。
 現在、全国の多くの水道事業体は、水道管の老朽化という課題に直面しています。更新の際には耐震性能の高い管材が求められる一方で、その実現には多くのコストがかかります。そこで、塩化ビニル管・継手協会の展示では、耐震性と経済性を高いレベルで両立した「RRロング管」を紹介。イベント当日、ブースには自治体関係者や設計コンサルタントが詰めかけ、社会インフラを支える技術に熱い視線が送られました。

写真:塩化ビニル管・継手協会

塩化ビニル管・継手協会

 硬質塩化ビニル管、継手、マスマンホールの普及広報やリサイクル活動の推進、技術規格の標準化等を事業とする団体。1954年に「(旧)塩化ビニル管・継手協会」として設立。2022年にプラスチック・マスマンホール協会、プラスチックリブパイプ協会、C.C.BOX管路システム研究会と統合した。業界の健全な発展を促進し、安心・安全で持続可能な社会基盤の整備に寄与することを目的に活動している。

水道管の更新に経済的な選択肢「RRロング管」

 日本の水道事業におけるボトルネックのひとつは、管路更新です。全国の水道管のうち、法定耐用年数を超える管路の割合は20%(令和2年度)を超えています。しかし、実際に更新されているのはわずか0.65%(令和2年度)。すべて更新しきるには、150年以上かかることとなり、老朽化のスピードに管路更新が追いついていないのが現状です。
 その要因のひとつには、自治体の予算不足が挙げられます。とくに人口減少に伴って、収益が落ちている地域では更新のための予算確保が難しい現実があります。更新にあたっては、より高い耐震性をもつ管材を検討されることもありますが、それらの管材はコスト増を招くこととなり、更新したいが予算が追い付かないという板挟み状態になり、結果として更新着手そのものを遅らせてしまう本末転倒な事態も生じているといいます。自治体が抱える耐震性と経済性のジレンマの中で、いま改めて注目されているのが耐震性能の高い塩ビ管「RRロング管」の活用です。RRロング管は、材料費、施工費ともに低コスト。限られた予算内で更新距離を最大化できる管材といえます。

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RRロング管が備える高い耐震性

 水道インフラの基盤強化において、経済性と並んで不可欠なのが大規模地震への備えです。RRロング管は、レベル2地震動に対する耐震性能を有した耐震管です。管同士が接続する部分の受口が長いことで、地震時に地盤が大きく変化しても抜けにくい構造になっていることが特徴です。イベント当日、展示ブースのパネルには、日本水道協会発行の「水道施設耐震設計指針・解説」に記載されている、管径100mmのRRロング管の耐震性能のシミュレーション結果が掲載されました。

  • レベル2地震動とは「当該施設の設置地点において発生するものと想定される地震動のうち、最大規模の強さを有するもの」のこと(水道施設の技術的基準を定める省令)

レベル2地震動における安全性の検証

 レベル2地震動が起きた際、継手部に30mmの伸縮が発生するのに対し、RRロング管は75mmまで伸縮可能です。継手部分の屈曲角度に目を向けても、地震で0°10’40”の屈曲が起きるのに対して、RRロング管は4°まで屈曲を許容します。この検証結果から、伸縮、屈曲ともに大幅に基準をクリアしていることがわかります。また、押し込み余裕は8.0cmあり、引き抜き余裕も10.2cm〜11.5cmと離脱が起きにくい構造となっています。このようにレベル2地震動に適合する、高い耐震性能を持つことがうかがえる結果となりました。
 なお、RRロング管はすべての口径において、レベル2地震動に耐えうる性能を保有しています。

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社会インフラにとって、予測可能性が信頼のカギ

 さらに塩ビ管の強みは、将来にわたって材料が安定している点にあります。長期間使用されても強度が安定しており、100年後も常用圧力の2.5倍以上の安全性を維持します。また、残存強度をクリープ線図から容易に算出できるため、社会インフラに適した管材だといえるでしょう。
 長く使えて、寿命がわかる。塩ビ管は、長期的に水道管のマネジメントを行わなければならない自治体にとって、頼りがいのある存在となっています。

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もしも災害が起きたら。復旧性の高いRRロング管

 地震等の災害に対するリスクはゼロにはならないからこそ、起きた後のリカバリーの速さも災害への強さを示す重要な指標になります。RRロング管には災害からの復旧性にもアドバンテージがあります。
 まずは、施工が容易な点。RRロング管は施工の際に発電機や専用のコントローラー等が不要であり、手作業で補修が可能です。このことは、現場に大型機材が入れないような被災直後の混乱期において、復旧までの時間を短縮させるカギとなります。また、雨でも施工できるため、緊急性の高い状況であっても、いつでも作業が可能です。
 さらに、漏水箇所を発見しやすい点も、迅速な復旧に寄与します。万一大きな地割れや断層のズレがあった場合、RRロング管は破損するのではなく、接続部が外れて水が漏れ出す特徴があります。地上に水が噴出しやすいため、特別な調査をせずとも目視で漏水箇所を発見できるのです。この発見しやすく、直しやすいという特性が、ライフラインの早期復旧にとって重要なポイントになります。

まとめ

 老朽化した水道管は、日本の多くの地域が抱える社会課題です。それに対し、優れた耐震性と経済性をもち、長期的な運用に適した長寿命と予測可能性をもつRRロング管は有効な解決策になりえます。
 実際に宮崎市上下水道局、つくば市上下水道局をはじめ、45以上の事業体で採用されるなど、普及が進んでいます。塩化ビニル管・継手協会は、今後もRRロング管を通し、持続可能で安心・安全な社会インフラの構築に貢献していきます。