2025年03月 No.124 

広報だより

高校生が宇宙食を開発!福井県立若狭高校の14年間の取り組み

 インフォメーションでご紹介した福井県立若狭高校を語るには、決して外せないエピソードがあります。それは、生徒たち自らが開発したサバ缶がJAXAに納品され宇宙日本食に採用されたという、奇跡のような出来事です。
 サバ缶実習でHACCPの認定を取得した際、生徒の何気ない一言「私たちの缶詰を宇宙に飛ばせるのでは?」が、この壮大なプロジェクトの始まりでした。この一言がきっかけとなり、実習で学んだ知識と技術を活かし、14年間にわたる研究開発がスタートしました。
 授業で得た知識や食品の製造技術などをもとに、生徒自らが考え研究開発を進めました。延べ30名の生徒が研究を行い、製造は海洋探究コースと海洋資源コースの生徒たちが担当しました。
 担当したキャリアサポートセンター室長・海洋科学科 小坂康之教諭は当時を振り返ります。
「一番苦労したのは、途中で学校がなくなってしまったことです。2017年に小浜水産高校が若狭高校と統合されて閉校した際、新しい若狭高校でこの研究を受け継ぐことができるのか、不安がありました」
 実際、14年間の中で開発が止まっていた時期もありました。安易に教師が生徒に割り振るのではなく、本気でやりたいと手を挙げる生徒に受け継いでいたからです。あくまでも、「生徒が主役」なのです。
 水産高校時代からの研究記録ノート、通称「黒ノート」は生徒間で代々受け継がれ、2018年にはついに念願の「サバ醤油味付け缶詰」が宇宙日本食認証を獲得しました。
「研究がうまくいっていた時代の生徒は、僕からは何も教わっていないというんです。それは最高の褒め言葉だと思っています」小坂教諭は語ります。

写真:代々受け継がれてきた黒ノート
代々受け継がれてきた黒ノート
 
写真:日本人宇宙飛行士からのメッセージ。
サイン入りのサバ缶も
日本人宇宙飛行士からのメッセージ。
サイン入りのサバ缶も

 そして現在、生徒たちは新たな挑戦に取り組んでいます。それは3Dフードプリンターの開発です。きっかけは、野口宇宙飛行士との対話でした。国際宇宙ステーションという非常に特殊な状況に対して、新しい課題を見つけさらに探究を深めているのです。
 日本の理科教育をリードする若狭高校に、VECは今後も出前授業等でサポートします。

写真:地元企業とともに一般向け製品も販売開始
地元企業とともに一般向け製品も販売開始
写真:お話をいただいた小坂教諭
お話をいただいた小坂教諭