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高精度な塩ビ加工技術で
お客様の喜ぶ顔が見たい/青木ビニール工業所
工場や物流倉庫で見かけるカーテンにも塩ビが使われています。青木ビニール工業所は、ブース用シートや業務用カーテン、機械カバーなどの、塩ビ製生地を使った製品を製作。耐久性と使用感のバランスを重視した製品設計を心がけ、業務用のオーダーメイド製品で高い評価を得ています。今回は、青木ビニール工業所 青木愛子氏、儀間さち子氏に、同社の姿勢や取り組みを伺いました。
青木ビニール工業所
1966年から塩ビ製品の加工を手がけ、創業当初はベビーカーのパーツなどを製造。その後、ニーズの変化に合わせて業務用の大型製品を中心に取り扱うようになった。現在の主力製品は、工場や物流倉庫などで使う設備・機械のカバーや、帯電防止や防塵、防虫用の透明カーテン。塩ビシートの加工技術が強みで、使い手の気持ちに寄り添ったオーダーメイドの製品を得意とする。
業務用の高いニーズに応える、耐久性と利便性を叶えた塩ビ製品
青木ビニール工業所では、高周波ウェルダー機と業務用ミシンを使った加工技術で、工場用のカーテンや間仕切り、機械や台車向けカバーなどの業務用の製品を中心に製造しています。日々の生活で馴染みのある製品としては、コロナ時の飛沫感染防止シートやデスクマット、テーブルクロス、トラックの雨よけ(トラックシート)なども製造しているそうです。
当社が立地するのは静岡県焼津市。漁港や自動車部品工場が近いという土地柄、水産関係の食品加工工場で使われる滑り止め加工のビニールマットや、防水の前かけ、自動車部品工場用のカーテンや、台車カバーの引き合いが多いと言います。
「透明の塩ビ製生地は視認性が良いため、多くの人が出入りして安全性が重視される工場内では必須の素材です。使う場所に合わせて防虫、帯電防止、防炎、耐候性などの機能がついた生地を選んで利便性を叶えた製品を設計しています。
また、塩ビ製品の一番の特長は、柔軟性があり強度が高いところ。工場用カーテンは、頻繁に開閉される上に、急いでいたり、機械ごと押し通ったりすることも多いため、耐久性の高い塩ビが最適です」(青木氏)
塩ビ製生地の取り扱いを熟知、長く使用できる製品を作る
青木ビニール工業所では、お客様のニーズに合わせて、非常に高い精度の製品を提供しています。特に、業務用の製品作りでは、オーダーメイドの製品が多くあり、要望に応じて、お客様の工場や機械に合わせて、製品の強度や機能を調整。細部にまでこだわった加工を行っています。
「私たちが手がける業務用の製品の役目は、激しい使い方に耐えながら、より使用現場を便利にすること。オーダー製品では、お客様とのやりとりを大事にし、簡単な図面からでもご要望を汲み取って、最適な製品に仕上がるように調整しています」(儀間氏)
特に工場で使われる製品については、直接現場に足を運び、製品が使用される状況を確認することで、より適切な製品が提案できるように心がけていると言います。
例えば工場用のカーテンでは、食品工場用と機械製造工場用とで、設置場所の温度や防塵対策の程度も異なります。使用現場に合った形で、開閉部の仕組みを細かく工夫し、使いやすさを追求して製品を設計しています。
「機械カバーや工場用カーテンは、一見して簡素な構造に見えますが、毎日の使用に耐えられるよう、負荷を分散できる設計になっています。高周波ウェルダー加工が可能な塩ビ製品では、強度を保ちながら色々なパーツを取り付けられるため、幅広い製品提案が可能です」(儀間氏)
塩ビ製生地は、伸縮する性質があるほか、生地に付加された機能によっては、加工時の取り扱いに特別に注意する必要もあります。青木ビニール工業所では、塩ビ製生地に対するノウハウを生かして、丁寧なものづくりに取り組んでいます。
「折れや曲げに強い塩ビ製生地は、立体的なカバーなどを作る際にも作業がしやすく、自由自在に加工できるのが魅力だと感じています。また、お客様の手に渡った後に長く使用していただける点も、作り手としては嬉しいですね。現場で使用する多くの皆さんに気に入っていただけるよう、強度と使いやすさを兼ね備えた製品を考案しています」(青木氏)
お客様の使いやすさを追求した製品を続々と作っていきたい
青木ビニール工業所では、加工技術を知ってもらうために、端材を使って小物(バッグ、ペンケース、ティッシュケースなど)を作り(アップサイクル)、SNSに投稿しています。
「『ビニール』と聞くと、使い捨てポリ袋(ポリエチレン製)のことだというイメージが一般に広がっていると思います。けれども、塩ビ製のビニールカーテンは長寿命な上、断熱効果が高いので省エネにもつながる、環境にやさしい製品です。そのため、SNSを使って発信することで、塩ビには色々な加工方法や使用場面があることを、一般のお客様にももっと知っていただきたいと思っています。そして、他の加工屋さんとも情報交換してさらに技術を高めながら、塩ビ製生地を使った環境にやさしい製品作りで、社会に貢献していきたいです」(儀間氏)
創業以来、時代によって主力製品こそ変化してきましたが、塩ビを扱う技術と知識は、青木ビニール工業所で途絶えることなく積み上げられています。
「求められた製品を正確に提供する以上に、お客様の期待を越えられるような対応力もついてきたと自負しています。今後は、さらに色々な製品づくりに挑戦したいと思っています。そして、常にお客様が使っているところを想像しながら、より使い心地の良い製品を届けていきたいです」(青木氏)