毎日の生活で使用する身近な塩ビ製品
〜YKK㈱のレールファスナー〜

繊細な技術が込められたレールファスナー「ジョイロン®」

　「ジョイロン®」は、文具やポーチなどで使われている樹脂製のレールファスナー。閉じ具のスライダーで密閉するタイプや、指で開閉できるタイプなど、豊富な製品バリエーションを提供しています。「ジョイロン®」は、化粧品ポーチや文房具入れなど、日常的に使用する多くの製品に採用されています。
　YKK㈱の得意とするファスニング製品は、小さなパーツがしっかりと噛み合うことでスムーズな開閉を可能にする、デリケートな製品。誰でも簡単に使える「ジョイロン®」も、実は非常に細かく複雑な構造でできています。ほんの少しのずれが不良品につながってしまうため、自社工場ですべての工程を一貫生産し、製品の精度を保っています。
　「『ジョイロン®』は、使用中にスライダー部分が取れたり、噛み合わせがずれてしまうような初期不良が発生しないよう、細心の注意を払って製造しています。製造に関わるのは熟練したスタッフたちで、職人気質。高品質を保つため、非常に細かい部分にまでこだわって製品を管理しています」（山本氏）

塩ビ製「ジョイロン®」は丈夫で長持ち

　「ジョイロン®」は、生地や袋状の部材など他の部材に取り付けられて、様々な製品の一部になります。特に、塩ビ製の「ジョイロン®」は、加工作業がしやすいということで、納品先の加工業者からも支持を得ています。
　たとえば、塩ビ製の部品であれば、加工条件の許容幅が広いため、作業環境を選ぶことなく効率的に作業を進められます。また、製造過程で折れ目がついても復元しやすいという特性（復元性）により、製造途中で廃棄される部分を減らすことにもつながっていると言えます。
　「『ジョイロン®』は、学校や会社で使う連絡袋など、とくに使用頻度が高く長期間にわたる使用にも耐えうるよう、非常に丁寧に製造されています。製品の一部として取り付けられてユーザーの手に渡ったあとも、長い間、様々な場面で使っていただけるという点では環境負荷の軽減も期待できる製品です。
　『ジョイロン®』の性能を最大限に発揮するために、加工工場での取り付け方法をご説明させていただくこともありますね」（山本氏）

塩ビの特長を活かしたスライドファスナーが活躍

　YKK㈱は「ジョイロン®」の他にも、塩ビを材料とした製品開発を行っています。
　テープ部分も透明な塩ビでできているスライドファスナーは、バック内の視認性をより良くするために開発された製品。透明な生地材を使って高周波ウェルダー溶着することで、高い視認性と気密性を両立できます。袋を開けずに中身を確認できる用途で使われています。
　このように、YKK㈱のファスニング製品は幅広く活躍。産業資材分野においても、これまで培ってきた技術を生かして積極的に製品開発を行っていると言います。例えば、「PROSEAL®」は化学防護服やスキューバダイビングのスーツ等に採用されており、テープ材としてPVC・CR・PUの3種類がラインナップされています。
　YKK㈱はアパレルで使用されるスライドファスナーの代表的なメーカーでありながら、多種多様なファスニング製品を使って、業界が抱える困りごとを横断的に解決しています。
　「ファスナーは一般的には開閉を可能にするアイテムとして知られていますが、日本語の『ファスナー』の語源になった『fasten』という英語は『留める』という意味。工事現場で使用される大型生地材を現地で繋ぎ合わせることで、運搬を容易にしたり、固定したりする役目も果たせます。
　これからもお客様のお困りごとに合わせて、自社製品の性能とアイデアを組み合わせ、お役に立てる場面を提案していきたいです」（山本氏）