2022年04月 No.115 

特集 環境・社会貢献と塩ビ インタビュー 2

リハビリ補助用具 Curaria

株式会社ハイビックス

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現場と二人三脚で産み出した、「空気でふくらむ」リハビリ用具

 この度PVCアワード2021で準大賞を頂いた弊社の製品「Curaria(キュラリア)シリーズ」は、理学療法士さんのご要望を基に生まれた PVC製のリハビリエアー用具です。本製品を腕や脚に装着することで、空気圧でこわばった筋肉の持続的なストレッチが可能。筋緊張を和らげるだけでなく、施術を担当する理学療法士さんの負担軽減にもつながります。
 私たちがCurariaシリーズを開発するきっかけになったのは、業務の中で知り合った、介護事業所で働く理学療法士さんからの声。
 理学療法士さんは、人の基本的な動作能力の維持回復や悪化の予防を目的に、医学行為を行う仕事。たとえば、脳疾患で半身まひが生じた方に対しては、筋肉の緊張を和らげるためのマッサージを行います。そこでは、リハビリ用の道具も併用されますが、その現場で使われていた道具は、耐久性や使用効果の面で問題があったそうです。
 私たちは、空気で膨らむ製品の開発製造を得意とし、介護用品も多く作ってきた実績があります。そこで、理学療法士さんと二人三脚で、使いやすく効果的なリハビリエアー用具の開発に取り組みました。

人の役に立てる製品を、学びと試行錯誤で産み出す

 開発にあたっては、素材や形状の研究をするだけでなく、脳疾患のメカニズムも学んでいきました。全く初めての分野でしたが、外から見ただけでは分からない脳疾患の症状を理解することができました。
 たとえば、「脳疾患による筋肉の拘縮を予防するためには、いかに筋肉を弛緩させるかが重要」ということも理解でき、それがCurariaシリーズの「空気袋で筋肉を圧迫する」という仕組みにもつながっています。
 ここでの学びは、きちんと効果のあるリハビリ用具として成立させるために大きく役立っています。
 リハビリ用具本体を作るために選んだ素材は、強度があり、湿気にも強いPVC。さらに、リハビリの現場で安心安全に使えるように作ること、理学療法士さんの現場だけでなくご家庭でも購入しやすいコストに抑えること、使いやすい形状にすること、軽いながらも必要な強度を保つことも、社内で知恵を出し合いながら突き詰めていきました。

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高井社長

 また、完成してもその効果が理学的に実証されていないとリハビリ用具として意味がありません。実際の患者さんに使用していただき効果を見る実証試験。患者さんの経過を見ながら、きちんと効果があることも実証しました。
 Curariaシリーズは、ハイビックスの技術と理学療法士さんの経験とノウハウを掛け合わせ、二人三脚で開発を進めていきました。その甲斐あって、使用者からは効果の実感の声を頂いております。さらに、Curariaシリーズを装着しながら同時に別のリハビリを実施することが可能になるので、理学療法士さんをはじめリハビリを担当する方の負担も減らすこともできました。
 私たちの製品が、皆様のお役に立つことができて何よりです。今回の製品開発は、PVCアワードの受賞を目指して行ったわけではありません。ですが、試行錯誤を重ねて作った製品が受賞に至ったことは本当にうれしいですし、普段はお客様に直接お会いする機会の無い製造や開発のスタッフも、評価を受けることで自信に繋がる機会になったのではないでしょうか。
 これからもハイビックスでは、空気で膨らむ製品を軸に、さまざまなシーンで皆さまのお役に立てる製品を開発していきます。「空気で膨らます製品」というと、レジャー用途の印象が強いかもしれません。ですが、今回開発したCurariaシリーズのように、新たな可能性を開拓していきたいと思います。