2020年3月 No.109 

特集 新しい塩ビ製品 PVC Award 2019 受賞作品クローズアップ

アキレス㈱の「スカイクリア防炎&Ziptrak®ロールスクリーンシステム」

塩ビフィルムと専用フレームの組み合わせで、快適&安全な屋外空間を創出

写真:静岡県の宿泊施設のレストランも採用(オープン前の様子)
静岡県の宿泊施設のレストランも採用(オープン前の様子)

冒頭でご紹介したとおり、今回も様々な話題作が登場したPVC Award 2019。ここからは、受賞作品の中から3点をピックアップして、その魅力に迫ります。まずは準大賞を獲得した「スカイクリア防炎&Ziptrak®ロールスクリーンシステム」。高度なプラスチック加工技術を駆使して多彩な製品群を生み出してきた化学メーカー・アキレス㈱(伊藤守社長。本社=東京都新宿区)が提案する、屋外空間の新しい楽しみ方とは?

新時代のエクステリア

 透明な軟質塩ビの屋外間仕切り用フィルムと、アルミ製の専用フレームを組み合わせて、快適な屋外スペースを創り出す「スカイクリア防炎&Ziptrak®ロールスクリーンシステム」。アウトドアライフの楽しみ方を大きく広げてくれる新時代のエクステリアです。
 例えば、カフェテリアやレストランに施工すれば、そのまま開放感いっぱいのパーティションルームに早変わり。スクリーンは片手で楽に上げ下げできて、位置の調整も自由自在なので、季節や天候に合わせて、景観を損うことなく外の眺めを楽しむことができます。しかも、燃えにくく、ガラスのように割れる心配も無用。快適さだけでなく、安全性にも優れる点に、この製品の真価があると言えます。

竪坑、貯炭場などの炭鉱施設が集まる東側。©2018 野口貴文
1ユニットはオーダーメイドでの対応可能。1ユニットの最大サイズは高さ3メートル、幅3.5メートル。(外側の足付きフレームは商品に含まれない)。上左の図はトラックガイドの仕組み。フィルムの端がトラックの溝に沿って上下し、シワがよることなく、スムースに開閉する。

耐候・防炎・透明の3性能を同時に実現

 「スカイクリア防炎」は、アキレスが同社初の屋外用として独自開発した間仕切りフィルムで、優れた耐候性と防炎性に加え、高い透明性を併せ持つのが最大の特長。開発の経緯を、フイルム販売部の鈴木浩介フイルム課長に伺いました。
 「当社ではこれまで、屋内用のフィルムをメインにしてきたが、海外ではヨーロッパやオーストラリアなどを中心に、窓ガラスの代替として透明度の高い屋外用フィルムが普及している。スカイクリア防炎は、日本国内でも今後そうした需要を伸ばしていこうと考えて開発したものだが、耐候、防炎、透明という3つの性能を同時に実現するには高難度の技術が要求されるため、配合設計の研究を重ねた末、2016年11月に発売した。スカイクリア防炎は、日本の厳しい消防法に適合する防炎性能を備えながら、高レベルの耐候性(紫外線による黄変の抑制)と透明性を有する。UVカット効果も大きい(紫外線99%以上をカット)。さらに、欧州のREACH規則にも対応している」

 

「スカイクリア防炎」の最良のパートナー

 一方、専用フレームの「Ziptrak®ロールスクリーンシステム」は、オーストラリアのZiptrak社が開発した製品で、アキレスは「スカイクリア防炎」の拡販と使い勝手向上を目的に、日本国内での専売権を取得した上で、2018年11月からセット販売をスタートしています。密着性があって貼り付きやすい軟質塩ビフィルムをスムースに巻き上げることができるのは、このフレームの機能によるもので、文字どおり「スカイクリア防炎」の最良のパートナーと言えます。
 「Ziptrak®ロールスクリーンシステムには、トラックガイドという特殊な技術が使われていて、フィルムが一定のテンションを保ちながら、フレームの溝に沿ってスライドする仕組みになっている。また、フィルムの層間にわずかな隙間を作ることで貼り付きを防ぐ機能もある」(鈴木課長)
 軟質塩ビフィルムの長所でもあり、時には弱点ともなるのが密着性。PVC Award 2019では、こうした軟質塩ビの弱点を解消して、新たな使い方を引き出した点が高く評価されました。

写真:こんな使い方も(海外での施工例)
こんな使い方も(海外での施工例)

シンプルでスタイリッシュなデザイン

 セット販売をスタートして以降、「スカイクリア防炎 & Ziptrak®ロールスクリーンシステム」に対する注目は着実に高まりつつあります。
 「シンプルでスタイリッシュなデザインなので、設計事務所などの反応も良好です。今後はもっと認知度を上げていきながら、カフェテラスやレストラン、ゴルフ場のクラブハウス、植物園など、人の多く集まる施設に向けて、屋外空間に潤いを与えるパーティションとして提案していきたい」と語るのは、フイルム販売部フイルム課の後藤修斗さん。PVC Award 2019での準大賞受賞により、注目度はますます高まりそうです。

写真:鈴木課長(左)と後藤さん
鈴木課長(左)と後藤さん