2026年03月 No.126 

インフォメーション

老舗商社が繋ぐPVC製品リサイクルの輪/白金化成株式会社

 製品のサプライチェーンに一貫して携わるという、ユニークなビジネスモデルを確立している白金化成㈱。「40年前から、我々は即日出荷をやっていた」。担当者がそう語る供給体制と、年間400件以上の試作を行う徹底した現場主義は、多品種小ロット化が進む現代において、白金化成㈱が顧客から頼られ続ける理由になっています。加えて、近年は資源循環への取り組みを強化し、業界初となるバイオマスリサイクルシート「バイオシェルライト」を開発するなど、環境対応においても先駆的な試みを続けています。
 同社の強みと、次世代に向けたPVC製品の可能性について、白金化成㈱ 代表取締役 野口弘道氏、第一営業部 ディレクター ジェネラルマネージャー 竜田育男氏、第一営業部 アシスタント ジェネラルマネージャー 高橋聡氏にお話を伺いました。

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白金化成株式会社

 白金化成㈱は、1962年に創業し、今年で64年目を迎える老舗の専門商社。事業はPVCを中心とした合成樹脂シートの開発・販売、文具・雑貨の受託・加工、オリジナル製品企画・開発の3本柱で構成されている。手帳の表紙材においては国内シェアの約50%(同社推計)を占めるなど、業界内で確固たる地位を築いている。
 単なる商社機能にとどまらず、原料調達から製品化までをサポートする独自のサプライチェーンを構築しているのが同社の特徴だ。この一貫体制に加えて、強固な物流システムを強みに、市場のニーズに応え、オリジナリティあふれる製品とサービスを提供している。

写真:お話しいただいた高橋氏、野口社長、竜田氏
お話しいただいた高橋氏、野口社長、竜田氏

調達から製品化まで。サプライチェーン全体に関与する強み

 通常、PVC製品が世に出るまでのプロセスは、明確に分業化されています。上流では樹脂メーカーが原料を作り、シートメーカーがそれを圧延してシートにします。そして下流では、加工業者がシートを仕入れて裁断・溶着などの加工を行うのが一般的な流れです。
 その中で白金化成㈱は、この分業化されたサプライチェーンを自社主導でつなぎ合わせています。創業以来、原料の販売も行っている同社は、原材料に関する知見を活かし、製品に最適なシートを設計することが可能。色や柄、質感を細かく指定して、シートメーカーに製造を依頼します。こうして作られたシートを、自社の巨大な倉庫で管理。他社にはない特性を持つこの在庫を、顧客に安定的に供給するだけでなく、さらに自社でその先の加工までをも行なっているのです。

10時までの注文で当日出荷。常識破りの在庫力と小ロット対応

 白金化成㈱は、埼玉県八潮市に約1,800㎡におよぶ巨大な配送センターを擁し、PVCシート31種184色、スポンジシート31種153色、PPシート34種196色など膨大な種類の商品を常時在庫しています。驚くのは、同社が提供する即納体制です。午前10時までに注文が入れば、その日の午後便で出荷。都内であればその日のうちに届けることも可能です。
 在庫を抱えることはリスクとして捉えられがちですが、このような即納体制の他に、小ロットに対応できるメリットもあります。通常、文具メーカーなどが在庫にない特定の色を求めてシートメーカーに特注を依頼する場合、最低でも500メートルのロットが必要だといいます。これは、手帳の表紙で使うとしたら、およそ1万5千冊分。しかし、膨大な種類を常時在庫している同社を利用すれば、20メートル巻きのロール1本から購入可能です。
 「必要な分だけ欲しい」という文具・雑貨メーカーのニーズに対し、この小回りの良さが選ばれる理由になっています。

アイデアを形へ。企画と試作で加速する開発

 同社の本社展示室には、約5,200点もの生地ハンガーが展示されています。ここでは、紙の色見本では再現しきれない、実際の質感や微妙な色味を確認できます。これが、OEM企画において、顧客が完成品をイメージするのに役立っているといいます。「打ち合わせのために来社したデザイナーが1時間以上滞在することも珍しくない」と竜田氏。単なるショールームではなく、共に新しい製品づくりを構想する場になっているのです。
 また、本社には高周波ウェルダー機などを備えた試作室も完備。顧客から相談があればすぐにサンプルを作成できる体制が整っています。「生地見本を渡すより、形にして見せた方が話が早い」という考えから、年間で400件以上もの試作品を制作しています。

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 また、白金化成㈱はOEM生産だけでなくオリジナル製品の製造にも注力しています。封筒用の留め具「マルタック®」や贈答用の封ろう「ロイヤルタック」といった長年のロングセラー商品がある一方で、常に新しいアイデアが生まれる仕組みも整っています。その源泉となっているのが、2001年から毎月開催されている社内コンテストです。社員から募ったアイデアを社内外の投票で選び商品化するこの試みにより、これまでに380を超える製品が誕生してきました。コロナ禍には「抗菌ウェットティッシュポーチ」、最近では缶バッジなどを収納できる「推し活クリアバッグ」を開発するなど、社会のニーズを的確に捉えた商品が次々に生まれています。中には、蛍光色やニュアンスカラーといった、新生地を活用した商品も。新しい素材の開発から、その素材の特性を活かした使い方の開発までをスピード感をもって行えることが、同社の開発力や企画力につながっているのです。

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業界初のバイオマス×リサイクル

 白金化成㈱は、環境への取り組みにも力を入れています。1999年から国の環境戦略や石油製品の動向をまとめた「環境レポート」を作成して啓発活動を行うなど、その取り組みは一朝一夕のものではありません。事業活動においては、自社の裁断事業で発生する端材を回収し、リサイクルシートとして再生。再び生地や加工品として製品化するなど、PVC製品の循環利用を推進しています。
 同社が開発してきたリサイクル素材の中でも最新のものが「バイオシェルライト」です。これは、リサイクルPVCに産業廃棄物である卵の殻を10%配合した、業界初の「バイオマス×リサイクル」素材。一般的にリサイクル素材は色がくすみがちですが、透明な端材を厳選して再利用することで鮮やかな発色を実現している点が特徴です。最近では「環境配慮だから選ぶ」だけでなく、「色が綺麗だから選ぶ」という顧客も多いといいます。SDGs対応と意匠性を両立させたリサイクル素材が、高い評価を得ているのです。
 また、日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)との、PVC透明手帳カバーの再資源化プロジェクトをはじめ、他社との協業によるリサイクルも進行中。2020年7月から始まったこのプロジェクトでは、能率手帳の名で知られる「NOLTY®」を回収し再生することで、製品の原料として再利用しています。
 サプライチェーンを担う存在だからこそ主導できるリサイクルの輪が、自社から関連企業へと広がっています。
 原料から製品までを一気通貫で手がける、独自の地位を築いた白金化成㈱。敏感にトレンドを取り込みながら、次代のモノづくりを支える同社の挑戦はこれからも続きます。

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PVC Award 2025 入賞 受賞

今回紹介しました白金化成㈱は「ワンタッチサイリウム」がPVC Award 2025にて
入賞を受賞しました。


 フィルム表面で集光、端部より光を放出するビジュアルインパクトが魅力。より光の放出を演出するために1.0mmの生地を重ねることで発光性を強化し暗い環境下で衝撃的な外見性を演出することが可能です。裏面は弱粘着のシールを使用しているため、シール部はゴミがついてなければ再剥離が可能。また、色を変更すれば推しの色に変更できます。

(PVC Award 2025サイトから引用)