安井教授の講演は、環境問題の変遷をたどりながら産業界、一般市民それぞれの今後の対応策などを提示したもの。
話の前段で安井教授は、日本の環境問題が水俣型公害問題や交通公害などの初期段階を経て、ダイオキシン問題、地球温暖化問題、さらには持続可能型問題へと移行するにつれて、「当初は明確に特定できた問題の原因、加害者、被害者、解決策が極めて曖昧になってきている」と指摘。そうした状況の中で、日本が今後環境対応を進めて行くには、次の「六つの条件プラス一つの責任」を基本に具体的な取り組み策を考えていくべきだとしました。
【六つの条件プラス一つの責任】
- 資源生産性(GDP÷資源採取量)の向上
- (1)循環利用率の向上、(2)最終処分量の大幅削減、
(3)二酸化炭素排出量の削減、(4)有害物質削減への適切な対応、(5)生態系保全
- 「排出者責任」「拡大生産者責任」
また、安井教授は「これから先の日本にとって最も重要なのは、非持続型の社会をどうやって持続可能型に変えていくかということだが、そのためには経済的な仕組みをどうするかということだけでなく、たぶんモノを作る側と使う側の協調が問題の“解”になるだろう」として、持続可能型社会の構築には産業界と市民との協調が不可欠であるとの考えを示しました。
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