2000年9月 No.34
 

 農ビリサイクルの新拠点、岐清協リサイクルセンター

  最新システムで中京地区の使用済み農ビをリサイクル、この秋から本格的取り組みへ

    岐阜県内の市町村から委託されたごみ収集・運搬業者で構成する岐阜県清掃事業協同組合(岐清協)と、プラスチック再生製品メーカーのタイボー・プロダクツ(株)が共同で設立した岐清協リサイクルセンター(岐阜県安八郡輪之内町中郷新田1354)が、去る6月8日に竣工。一廃系プラスチックだけでなく農業用ビニルのリサイクル施設としても地元の期待が高まっています。  

 

最新の射出成型機を導入した廃プラ一貫処理施設

  岐清協リサイクルセンターは、容器包装リサイクル法における「その他プラスチック」に対応した国内初のマテリアルリサイクル施設です。
 県内の各市町村から分別回収される一般廃プラスチックのマテリアルリサイクルが同センターの基本業務ですが、一方で農ビのリサイクルも主要な事業の柱となっており、岐阜県における農ビリサイクルの拠点として、今後重要な機能を果たすことが期待されます。
 同センターの処理プラントは、(株)小松製作所の設計による一貫処理システムを中心に構成されています。このシステムは、原料の破砕・洗浄から、各種プラスチックの分離(遠心力と比重差を利用した高度分級装置)、成型加工、出荷まで一連の工程をライン化したもので、中でも独エトリンガー社の技術を基に開発された射出成型機(設備費の一部について当協議会も助成)は、塩ビを含むあらゆる汎用プラスチックに対応が可能である上、多少の不純物や異物が入っていても成型性に問題がないため、土砂など付着物の多い農ビのリサイクルには最も適した設備と言えます。

 

農ビを土木資材などに再利用

  現在、岐阜県内の農ビの収集は一部始まっていますが、計画では今年秋から年間1,000トン程度の農ビが県内各地から集められ、再生品の原料として利用されることになっています。
 リサイクル製品としては、高速道路の中央分離帯ブロックや駐車場の車止め、柵・擬木などの土木資材、景観資材などが検討されていますが、こうした製品開発の面では、タイボー・プロダクツの親会社である(株)タイボー(本社=和歌山市/本誌No.27参照)に蓄積された塩ビ・プラスチック再生のノウハウが大きく貢献しています。
 前記のリサイクル製品も、既にタイボーが再生ポリエチレンを原料に製品化しているものですが、中でも、コンクリートに代わる軽くて丈夫な製品として全国の高速道路に採用されている中央分離帯ブロック(商品名「エコブロック」)は、タイボーがかねてから「塩ビの特性を生かして製品化してみたい」と開発に意欲を燃やしていたもので、農ビを用いることにより、日光などの熱による反りが少ない高性能な製品の製造が可能になりました。
 「ドイツでは既に高速道路の分離帯やボラード(路側柱)などに塩ビのリサイクル品が本格的に使われており、環境面でも何の問題もなく市民に受け入れられている」とタイボー・プロダクツの平野二十四社長は海外の状況を説明しています。
 タイボー・プロダクツでは、農ビを用いた駐車場の車止めは既に発売を開始しています。このほかに農ビに可塑剤を配合したゴム質感のある安全性の高い車止めなども試作中で、トラックを使った実験でもその耐久性が証明されています。
 平野社長は、「エコブロックとボラード、それにプラスチックレンガについては、今年中に金型を作って塩ビのリサイクルをスタートしたい」と言います。 この秋以降、中京地区の農ビリサイクルは大きな転換期を迎えることになりそうです。