1996年9月 No.18
 

   塩ビサッシの人気の秘密――省エネ、結露防止で快適な生活に貢献 

 

 

  塩ビサッシ(プラスチックサッシ)は、今最も成長著しい塩ビ製品のひとつ。今回の「塩ビって何」は、この省エネ型住宅用建材の人気の秘密を探ってみました。
 

●  多様な特性、防カビや遮音効果も

 
  塩ビサッシは1970年にドイツで開発された製品です。現在では世界各国で人気を集め、ドイツの住宅は半数以上が塩ビサッシと言われるほど。日本でも(株)トクヤマ(前徳山曹達)が1975年に初めて製品化して以来、新しいタイプの住宅用建材として年々急速な普及をとげてきました。
  塩ビサッシの人気の秘密は、第1にその優れた断熱性を生かした省エネ・省資源効果の大きさにあります。塩ビの熱伝導率はアルミの1000分の1。その上、窓面も複層ガラスを組み合わせた構造になっているため、塩ビサッシは単層アルミサッシの約3倍もの断熱性で、冬は室内の暖かさを逃さず、夏は外気の暑さを遮断することができます。
  また、外気の影響を受けにくいために現代建築の宿命である結露やカビの発生を防止できること、気密性や遮音効果に優れることも塩ビサッシの大きな特性です。
  耐薬品性(酸、アルカリ)も強く、アルミや鉄のように錆びたり、木材のように腐ることもありません。しかも、加工しやすく着色も容易な塩ビサッシは、住まいの表情を決めるデザイン的な面でも思いがけない力を発揮します。

 

●  近い将来、2〜3割のシェアに

 
  塩ビサッシには、単独で一重窓として使われる外窓とアルミサッシなどと併用される内窓の2種類がありますが、日本国内の全窓枠に占めるシェアは5%(アルミ製94%、木製1%)。過去最高を記録した1994年にはおよそ200万窓(レジン換算で約3万トン)出荷されており、生産量はこの10年間でほぼ4倍に達しています。
  塩ビサッシメーカー6社で構成するプラスチックサッシ工業会の滝口武志顧問(シャノン販売東日本<株>代表取締役社長)によれば、「今年は乙種防火窓として建設省の認定を受け、塩ビサッシの評価はさらに高まった。今後は国の住宅断熱普及促進策に呼応し、2000年には10%、近い将来には20〜30%のシェアをめざす」とのことで、これまでは東北・北海道などの寒冷地を中心としていた需要も、冷暖房の普及などで最近は西日本にも広がる傾向を見せています。
  一方、好調な生産に併せて既にリサイクルの試みも始まっています。「普及して日が浅いために、耐久性のよい塩ビサッシはまだごみとしてほとんど出てこない状況」(滝口顧問)ながら、現在工業会として再製品化の検討に着手しており、こうした試みを進めることで、塩ビサッシはさらに人々の快適な生活を守る製品として普及していくことが期待されます。