「建築物の持続性と
高性能化を考えるシンポジウム」開催
低炭素社会構築に向けた省エネ建築のあり方
などを巡り、充実のパネル討論
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◀ ▲ 会には住宅メーカー、建築会社、窓・断熱材メーカーなどから約300人が参加した。左の写真は左上から、小宮山、秋元、湯澤、岡、竹川、小山の各氏。 |
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●2050年資源自給国家をめざす
2050年までに温室効果ガスの80%削減(2013年比)を掲げる日本。これからの低炭素社会構築へ向けて、建築物の省エネ、改修・リノベ−ションのあり方などを探る「建築物の持続性と高性能化を考えるシンポジウム」が11月18日の午後、東京・文京区の東京大学 伊藤国際学術研究センターで開催され(塩ビ工業・環境協会主催)、且O菱総合研究所の小宮山理事長(第28代東京大学総長)ら6人の専門家が討論を繰り広げました。
初めに「プラチナ社会における省エネルギー」と題して基調講演を行った小宮山氏は「経済も地球も諦めない持続型社会は必ず実現できると確信している」とした上で、「現代は物質的に飽和の最終段階に達しており、これからは質的満足が求められる時代。21世紀のビジョンは『プラチナ社会』(モノも心も豊な社会)であり、省エネと同時に健康産業でもある断熱建築(ZEB/ZEH)は新しい〔プラチナ産業〕となり得る。省エネ技術と再生エネルギーの進歩で2050年資源自給国家をめざそう」と呼びかけました。
●ZEHリノベーションで活発な意見交換
芝浦工業大学の秋元教授、(株)日建設計総合研究所の湯澤理事による講演(テーマはプログラム参照)に続いて行われたパネル討論では、前出3氏にアズビル(株)の岡理事、パナソニック(株)エコソリューションズ社の竹川専務、エコワークス(株)の小山社長が加わって、ZEB/ZEHへの取り組み状況、既築建築の改修・リノベーションへの対応などを巡りやり取りが交わされました。
ZEB/ZEHへの取り組みについては「2018年までに全戸建住宅の100%ZEH化を実現する計画」(竹川氏)などが報告されましたが、改修・リノベーションについては「2030年には改修適齢期住宅が2倍になる」(小山氏)との問題提起を受けて、「断熱改修で家の資産価値が上がればZEHは進んでいく」(竹川氏)、「既設建築のZEB/ZEH定義が必要」(岡氏)、「ZEBに関するLEEDのような環境性能評価認証システムが住宅にも必要」(湯澤氏)、「ZEB/ZEHという言葉を広辞苑に載るくらい普及させる」(秋元氏)などの意見が続出。最後には「2050年はエネルギー使い放題。但しそのすべては再生エネルギー。そういう夢を描きたい」(竹川氏)「太陽光のエネルギーは人間の消費量の1万倍。いずれその夢は実現する」(小宮山氏)という声も出て、活気溢れる討論会となりました。
■シンポジウムのプログラム
■開会挨拶
亀高 真一郎 (塩ビ工業・環境協会 理事)
■基調講演 「プラチナ社会における省エネルギー」
小宮山 宏 ((株)三菱総合研究所理事長、プラチナ構想ネットワーク会長、元東京大学総長)
■講 演① 「ZEB、ZEHの考え方と改修への可能性」
秋元 孝之(芝浦工業大学 工学部建築工学科 教授)
■講 演② 「建築物の省エネ、創エネの方向性と応用について」
湯澤 秀樹 ((株)日建設計総合研究所 理事)
■パネルディスカッション
「2050年目標を見据えた建築物の持続性と高性能化を考える」
コーディネーター:小宮山 宏
パネリスト: 秋元 孝之/湯澤 秀樹/岡 幸彦(アズビル(株)理事、ビルシステムカンパニー マーケティング本部長)/竹川 禎信(パナソニック(株)エコソリューションズ社 専務)/小山 貴史(エコワークス(株) 代表取締役社長) |
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