2015年3月 No.92
 

ジャパン・プラス(株)が挑む「パッケージ革命」

技術×デザインで、驚きの新製品を生み出し続ける「ものづくり集団」の底力

 耐衝撃性、機能性、そして美しさを兼ね備えたシャパン・プラスの製品群。ほかにも魅力的なアイテムがいっぱい揃っています(詳しくはhttp://www.j-p.co.jpで)。下段左端の写真は、高品質な製品づくりの原動力となるデザイン開発の模様。
 プラスチックの真空成形技術などを駆使して、新しい容器・包装材の製造・開発に挑むジャパン・プラス(株)(笠倉将太郎社長、東京都北区)。最新の技術とデザイン力、そして自由な社風の中から生み出される新製品の数々は、まさしく「パッケージ革命」そのもの。若き「ものづくり集団」の底力を見よ!

●発泡スチロールに代わる新しい緩衝材

笠倉社長

 簡単に品物を包めて、中身をがっちりガード、しかもビジュアルの美しさや面白さに溢れる包装材。そんなパッケージづくりに、プラスチックシート、さらには紙素材も取り入れて挑み続けているのがジャパン・プラスです(プラスチックシートの素材はA-PET〔非結晶性ポリエチレン・テレフタレート〕など)。
 同社が扱う製品は、トレーやケース類、カバー類などから、ボックス、ディスプレイ、ノベルティまで多彩を極めますが、大きくわけると、顧客からの要望に応じたオーダーメイド製品と、同社が独自に開発したオリジナル製品、の2つが基本カテゴリー。
 オーダーメイド製品は「昭和49年の設立以来、弊社の経営基盤を支えてきたもの」(笠倉社長)で、現在でも売上の8割を占める主力アイテム。注文方法により規格品、フルオーダー、セミオーダーの3種類に分けられますが、同社では約100点以上という金型の豊富なストックを生かして、金型コストを抑えた小ロットオーダートレーを提案。部品トレーや透明カバーなどのほか、特殊フィルムを段ボール枠に接着した『J1-Box』『オルピタ』のシリーズは、発泡スチロールに代わる新しい緩衝材として、大手物流会社や通販業界など広い市場で利用されています。

  ジャパン・プラスが誇る最新式成形機。加熱したシートを金型の上にセットし、その下から空気を抜いて(減圧)真空状態にすると、瞬時に金型とおりの製品が完成します。

 

●楽しさと驚きに溢れたオリジナル製品

 一方、ユニークなアイデアで目を引くのが、自社開発のオリジナル製品。「ふだんはお客様からの要望に応じたオーダー製品を主に作っているが、オリジナル製品を開発してこちらから積極的に社会に発信することも必要だと感じていた」(笠倉社長)ことから製作されたもので、中でも「あると楽しい」をテーマにした「J+P LAB」コレクション・シリーズの『プカプカ』(透明フィルムに包まれた商品が中空に浮いて見えるインテリアフレーム)や『XELLAR〔セラー〕』(大人の男性をイメージして生まれた、3Dインテリアフレーム)、『FACE BOX〔フェイスボックス〕』(商品をクリアに見せる高級感いっぱいのギフトボックス)など、いずれを取っても楽しさと驚きに満ち溢れた製品ぞろい。
 「梱包資材は日々消費されるもの。捨てられないものを残したいという気持ちがどこかにある」
 新しいものづくりに賭けた若々しい意欲とデザインの力が、「捨てられない梱包資材」というパッケージ革命を実現したといえます。

●PVC Design Awardへの挑戦

 そのデザイン力を証明したのが、塩ビ業界が主催するPVC Design Award(塩ビものづくりコンテスト)での輝かしい実績。同社は2011年の第1回から4年連続でコンテストに参加しており、1、2回目は受賞を逃したものの、3回目に応募した『DECO BAG』で見事大賞を獲得。昨年も『スチームドーム for CAFÉ(お茶用蒸らし蓋)』と『fit nail seal(ネイルシール)』の2点が入賞を果たしています。
 「弊社でも、A-PETが開発される20年前までは塩ビを使っていたので、忘れていたもの思い出したような気持ちで楽しく取り組んでいる」(笠倉社長)
 『DECO BAG』のデザインを担当した石田麻紀氏によれば「社長からは、梱包資材で、かつ真空成形が絡むこと、の2点を指示されただけで、あとは思うとおりにやることができた」とのことで、自由な社風が斬新な発想を育てる土壌となっていることが窺えます。なお、『DECO BAG』は現在テスト販売中で、購入者の意見を参考にデザインなどの改良も進んでいる様子。商品化が待たれます。

  『DECO BAG』(上の写真左)は、シートの表面に凹凸加工を施して緩衝機能を高めたショッピングバッグ。塩ビシートを真空成形してエッジの効いた形を実現した技術が評価され、PVC Design Award 2013の大賞を受賞しました。右は昨年の入賞作品『fit nail seal』(上)と『スチームドーム for CAFÉ』
石田氏

●デザイン科の学生とコラボレーション

成果をまとめた
冊子も完成

 同社では、東京都の中小企業振興公社が実施する産学連携デザインイノベーション事業に参加するなど、産学連携にも積極的な姿勢を見せています。この事業は、自社商品を開発したい中小企業とデザイン系学部を持つ大学が、互いの技術や発想を生かして新商品・デザイン開発に取り組むもので、2回目の参加となる今年度は「PLUS BY PLUS DESIGN PROJECT」と題し、昭和女子大学環境デザイン学科プロダクトデザインコースの学生と共同。同社が得意とする紙の加工技術を生かした新感覚のパッケージング・デザインの創出という成果を上げています(昨年度は多摩美術大学と連携)。
 「デザインは会社の資源。弊社では品質の定義として製品、納期、単価、技術、そしてデザインの5つを謳っている」(笠倉社長)。デザインが品質を高める。梱包資材の世界でもデザイン力の重要性はますます高まっています。