2014年12月 No.91
 

松戸市立博物館の「Plastic?Plastic!」展が話題

戦後の生活の変遷をプラスチック製品でたどるユニークな企画展

 戦後の復興期から高度成長期にかけて大きく変化した私たちの暮らし。その中にはいつもプラスチック製品が息づいていました。そんな生活の移り変わりをプラスチックの歴史という視点から振り返る企画展が、10月11日〜11月30日まで、千葉県の松戸市立博物館で開催されました。反響を呼んだユニークな企画展の模様をちょっと拝見。

●日用品〜玩具まで、出展数約560点

 館内に入ったとたん目に飛び込んでくる様々なプラスチック製品の数々。日用品や道具類、玩具、雑貨、さらには衣類、建材に至るまで、その数およそ560点。これだけ多種多様な製品を時系列的に網羅した展示は全国的にも極めて珍しいものといえます。

 
中村次雄氏がデザインした製品。上は精緻を極めたマグロ漁用の疑似餌(サンマ)。左はモダンなデザインが美しいメジャー。いずれも素材の一部に塩ビが使われています。

 「当館では、10年前に工業デザイナーの中村次雄氏(前千葉工業大学教授、元積水化学工業デザインセンター所長)からプラスチックエ業デザインの関連資料をご寄贈いただき、順次整理作業を進めてきたが、今回のその一部を初めて公開するに当たり、寄贈品以外の製品も一緒に展示して、高度成長期以降、急速に普及したプラスチックが如何に我々の生活を変えたかを振り返ってみたいと考えた。それは東京のベッドタウンとして成長してきた松戸市の歴史をたどることでもある」と企画の意図を説明するのは、同博物館学芸員の山田尚彦氏。

展示品について説明する山田学芸員

 会場には懐かしいセルロイドのキューピー人形や、ポリバケツ、キッチンセットなどの日用品、キャラクターグッズやお菓子のオマケ、ナイロンのストッキングなど、プラスチック製品の発展の流れが自然に掴めるように配置され、来場者も興味津々の表情。
 「プラスチックは消耗品である上に、用途も非常に広範囲。その分、展示品を集めるのが困難で、企業や業界団体などの協力を得て、ほぼ2年掛かりで準備してきた」(山田学芸員)。
 プラスチックという新素材に当時の人々が如何に親しみ憧れたか、改めて思いを馳せたくなるような企画展でした。