2013年12月 No.87
 

APVN加盟国の報告から

アジア・欧州地域の塩ビ最新事情と政策動向など。フィリピンで第18回会合

アジア地域における塩ビの環境問題などについて情報交換する一般社団法人APVN(Asia−Pacific Vinyl Network)の第18回会合が、10月16日、フィリピンのマカティ・シャングリラホテルで開催されました。各国が行ったプレゼンテーションの中から、興味深い情報を拾ってみました。
会合の模様

●粗悪な輸入品対策に取り組むフィリピン

日本の塩ビ事情の報告も
(VECの関専務理事)
 APVNは、アジア地域での塩ビ関連情報の普及などを目的に1999年、塩ビ工業・環境協会(VEC)の呼びかけにより設立した組織で、現在、アジアおよびオセアニアの13カ国から約20の塩ビ関連企業・団体が加盟しています。通算18回目となる今回の会合では、招待参加した欧州の塩ビ団体も交えて、各国の塩ビを取り巻く状況や政策動向などについて報告が寄せられました。
 このうち、開催国フィリピンからは低品質の輸入品対策について報告がありました。同国では、管継手を中心に低品質の輸入品が出回っている現状に対応して、塩ビ製品のイメージ向上のためのPRや、環境規制強化の防止へ向けた関係当局への情報提供などに取り組んでいるとのことです。
 塩ビの役割全般について紹介したインドは、報告の中で本誌でも度々取り上げたフラクタル日除けや壁紙リサイクルに言及。日本のリサイクル技術に対する関心の高さを伺わせました。
 タイからはリサイクル事例の研究結果について報告が行われましたが、プラスチック廃棄物は、市場において製品毎に価格が付けられリサイクルされており、廃塩ビは他の廃プラより良い値がつくことが多いとのことでした。

●防御から建設的なコミュニケーションへ

 アドボカシー(コミュニケーション活動)について報告したオーストラリアは、活動のポイントとして「アピールする対象毎にコミュニケーションツール(対面、メディアの活用など)を選択する」「影響力のあるNGOを巻き込む」「防御から建設的な内容の話に移す」などを挙げたほか、規制当局との関わりの事例(フタレート安全性評価)では「協議を通じて互いの科学知識を共有し、産業界の立場に理解を得た結果、DEHPのリスク評価では一部の玩具と化粧品以外の規制は不要、DINPについては規制は必要なしとの結論になった」ことが報告されました。
 一方、欧州からは、REACH規制(EUの化学物質規制)の動向や、RoHS指令(電気電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限)の見直し作業に関連して、「市場動向としては、鉛系安定剤のフェーズアウトが着実に進み17%にまで減少したこと」などが報告されたほか、「2012年ロンドンオリンピックでは塩ビが積極的に使用され、一部は2014年のFIFAワールドカップや2016年のリオデジャネイロオリンピックで再利用される予定」といったトピックスも紹介されました。