2013年12月 No.87
 

特集/PVC Design Award 2013

大賞は、石田麻紀さん「DECO BAG」と草深仁志さん「AIRQUIN」に
塩ビ業界一丸のデザイン発掘コンテスト。3回目迎え注目度さらにアップ

 〈ソフトPVCで日本の力をためす〉をテーマに開催された「PVC Design Award 2013」(主催=PVC Design Award実行委員会)の入選作品が決まり、去る10月28日の午後、東京千代田区の如水会館で表彰式が行われました。今回は、応募件数が昨年を大幅に上回ったのに加え、大賞受賞作が2点選出されるなど、塩ビサプライチェーン一丸のデザイン発掘コンテストは、3回目を迎えてますます注目度アップ。

石田さん「機能性、デサイン性を追及していく」

 ジャパン・プラス梶i東京都)の石田麻紀さんの作品「DECO BAG」は、表面に凹凸加工を施した緩衝機能付きのショッピングバッグ。塩ビシートを真空成形してエッジの効いた形を実現するという難しい技術に挑戦したことなどが評価されました。

 「PVC Design Award への挑戦は3回目。軟質塩ビはデザイナーにとってとても面白い素材です。これか らも塩ビの機能性、デサイン性を追及していきたいと思います」(石田さん)

草深さん「来年もチャンスがあれば挑戦したい」

 潟}インドクリエイトジャパン(東京都)の草深仁志さんの作品「AIRQUIN(エアキン)」は、空気入りマネキン。コンパクトさや収納・保管・移動の簡易さだけでなく、リアルな表現力の高さが「日本のものづくりの力を示すもの」と評価されました。

 「私がやりたかったのはマネキンにブランド力をつけること。自分のイメージを具体化する上で、軟質塩ビは可能性が大きい。今回初挑戦でしたが、来年もチャンスがあれば出品したい」(草深さん)

応募件数327件。うち20件が受賞

 軟質塩ビの多彩な特長(柔軟性、加工性、透明性など)を生かした清新なデザイン・製品を業界内外から公募する「PVC Design Award」。今回は全国から327件(デザイン部門220件、製品部門107件。昨年は計242件)もの力作が寄せられた中から、20件が受賞作(大賞2、優秀賞2、入賞11、佳作5)に決定。表彰式では実行委員長を務めた塩ビ工業・環境協会の森会長が、各受賞者に表彰状と賞金(大賞は100万円)を贈呈し、関係者とともにその成果を称えました。(受 賞者の詳細は日本ビニル工業会のHP〈http://www.vinyl-ass.gr.jp〉参照)

式の冒頭、主催者を代表して森実行委員長が挨拶。「今回も優れた作品が数多く寄せられるととに、川上から川下までサプライチェーンの協力で業界の一体感もさらに深まった。この成果を今後の発展につなげたい」

大竹美知子審査委員長(共立女子大建築デザイン学科教授)の審査講評から

 「今回の入選作は、大賞作品をはじめ、いずれも難しい技術に挑戦して新しい塩ビの表現力を追求している。これを見ると、今後の日本でのソフトPVCの製品開発の豊かさが感じられるし、この中に多くのヒントが眠っていると思う。今年はとても実り豊かなアワードで、審査員一同たいへん喜んでいる」
来賓挨拶した経済産業省製造産業局・谷審議官は、「PVC Design Awardは新しい世代との出会いのきっかけを与える試みで、日本の競争力を高める国の政策とも同じ方向性を持つ。この試みが新しい製品開発につながることを期待する」と述べました。 公益社団法人 日本インダストリアルデザイナー協会の田中理事長も「デザインは経営資源。デザインこそ明日の日本を牽引する。今回入選した作品はどれもはユニークなもので、日本の力をさらに発揮すべきこの時代に、素晴らしい取り組みだと思う」と挨拶。

優秀賞は、内田亮太さん(滋賀県)のパソコンケース「CELL」(下)と、三澤建人さん、西山恵太さん、松見咲子さんの3人(東京都)が共同制作したガラス衝撃防止マット「AIR CELL」(右)の2点。
 いずれも軟質塩ビの柔軟性、透明性、着色性などを見事に生かした作品で、「AIRCELL」は窓ガラスに貼って子どもをケガから守るという働きも評価されました。
    「PVC Design Award
実行委員会」関係団体

主催/
東日本プラスチック製品加工協同組合
中日本プラスチック製品加工協同組合
西日本プラスチック製品加工協同組合
日本ビニール商業連合会
日本ビニル工業会
塩ビ工業・環境協会(VEC)

協賛/
九州ビニール製品工業会

後援/
経済産業省
公益社団法人日本インダストリアルデザイナー協会
 
   
コンテストに積極的に応募、支援した11社に日本ビニル工業会の伊藤会長から感謝状が贈られました。この後、伊藤会長は「人々の生活に潤いをもたらす塩ビ製品が増えることを祈る」と挨拶しました。 式後の懇親パーティでは、日本ビニール商業連合会の勝山会長の挨拶に続き、東日本プラスチック製品加工協同組合の時田理事長が乾杯の発声。受賞者を囲んで歓談のひと時を楽しみました。