2011年9月 No.78
 

塩ビ管の横笛で「合同演奏者数」の ギネス記録に挑戦

震災復興への願いを込めて、弘前城址に鳴り渡った「ねぷた囃子」の大合奏

 塩ビ管で作った横笛などで「横笛合同演奏者数の世界記録」に挑戦するイベントが、7月31日の正午、青森県弘前市の弘前公園レクリエーション広場で開催されました。大震災の被害に苦しむ東北の地を舞台に、復興への願いを込めて繰り広げられた話題のイベント。果たしてギネス記録は達成されたのか?!

●弘前城築城400年記念事業

朝早くから参加者が続々と結集

 弘前公園は弘前城址内に広がる総面積約50haの史跡公園。毎年春のさくらまつりは全国に知られます。
 今回のイベントは、その弘前城築城400年記念事業として津軽横笛ギネス実行委員会(代表=佐藤ぶん太、氏)が主催したもの。400年という数字にちなみ、津軽の伝統芸能である「ねぷた囃子」を、およそ4000人の人々が塩ビ管製の横笛などで合同演奏し、その演奏者数をギネス記録として申請しようという目論見で、8月1日から開幕する弘前ねぷた祭りのプレイベントとしても話題を集めました。

●弘前管工事協同組合などが塩ビ管を提供

絶好の「ねぷた日和」

 今回のイベントでは地元の弘前管工事協同組合が大きな役割を果たしています。もともと演奏に用いられる横笛について種類の規定はなく、市販の製品でももちろんOK。ただ、グループ参加する学校・団体等に寄贈する分を考えると、一本2千円前後と高価な市販品は、実行委員会にとって大きな負担になってしまいます。
 こうした実行委員会の窮状を知った同組合では、フルートなどの管楽器としても人気の高い塩ビ管の利用を提案。昨年末、加盟組合員に協力を仰いで直径1.3cm、長さ40cmの水道管用塩ビ管1200本を実行委員会に寄贈したほか、塩ビ管のカットや穴あけなど準備作業の面でも積極的な協力を行いました(なお、塩ビ工業・環境協会〈VEC〉や塩ビ管メーカーの積水化学工業からも塩ビ管が提供されています)。

●参加者数3742人で、みごと世界新記録達成

会場のあちこちで本番前の練習風景
認定証を手に、関係者と記録達成を
喜ぶ佐藤さん

 イベント当日、午前9時30分から受付が開始された会場には、弘前市とその周辺地域(黒石市、平川市、大鰐町など)、さらには遠く北海道斜里町や東京などから、名うての笛自慢や小中高生のグループが続々と集結。正午過ぎ、弘前市の葛西市長が「この取り組みは伝統文化を守るとともに震災からの復興を後押しする、世代を超えたチャレンジ。成功を確信している」と開会を宣言すると、大太鼓の力強い響きに合わせて一斉に笛の音が沸きあがり、約5分間にわたって一糸乱れぬ「ねぷた囃子」の合奏が繰り広げられました。
 演奏終了後、「ギネス・ワールド・レコード社」の認定員が「参加者数3742人。みごと世界新記録が達成された」と報告して実行委員会代表の佐藤さんに認定証を手渡した瞬間、参加者の間から盛大な拍手が湧き起こりました。3742人という数字は、これまでのギネス記録だった青森市の2320人を大幅に上回るもので、佐藤さんは「感動で言葉もない」と、記録更新の喜びに浸っていました(下のコメント)。

●広がる、楽器としての塩ビ管への評価

 前述のとおりフルートや尺八などの管楽器、あるいはスピーカーなどの音響機器としても音色のよさが認められている塩ビ管ですが、今回の横笛一斉演奏の話題は、そうした塩ビ管への評価が次第に浸透してきていることの現われと言えるでしょう。地域の記念行事、そして震災復興へ向けた取り組みの一端に参加できたことは、塩ビ管にとっても貴重な機会となりました。

津軽文化の発展に今後も塩ビ管を利用
(津軽横笛ギネス実行委員会代表・佐藤ぶん太、氏)

 とにかくほっとしました。感動で言葉もありません。記録を達成できたのは、地元の人々の協力と小中学生の頑張り、そして塩ビ管を提供していただいた弘前管工事協同組合と塩ビ業界の方々のお陰です。今回の「ねぷた囃子」が東日本大震災からの復興の息吹になることを心から願っています。
 塩ビ管の横笛はとてもいい音色で、初心者には吹きやすいと思います。津軽には「ねぷた囃子」以外にもいろいろなお囃子があります。今度はもう少し長い塩ビ笛を作って別のお囃子に合わせるとか、津軽文化の継承と発展に向けてもっと塩ビ管を利用していきたいと考えています。(談)