2009年12月 No.71
 

JPECセミナーを大阪、東京で連続開催

日欧米の業界団体が「塩ビ産業を取り巻く最新情報」を紹介

 
東京会場の模様。上の写真は左から、
関、ライトナー、セブンスター、ボッキの各氏
 塩化ビニル環境対策協議会(JPEC)の会員団体・企業向けセミナーが、大阪市(10月20日、大阪科学技術センター)と東京都千代田区(10月21日、如水会館)で連続開催され、日米欧3極の代表が、「塩ビ産業を取り巻く環境と各協会の活動」をテーマに、各地区の最新情報について報告を行いました(参加者は大阪約70名、東京約100名)。

●「Vien Pod」や「フラクタル日除け」など紹介(日本)

 講師を務めたのは、欧州塩ビ製造者協会(ECVM)のライトナー(Leitner)専務理事とセブンスター(Sevenster)技術部長、米国塩ビ協会(VI)のボッキ(Bocchi)専務理事、日本からは塩ビ工業・環境協会(VEC)の関専務理事(東京会場)と一色環境広報部長(大阪会場)の各氏。
 このうち、日本の報告は、広報活動やリサイクル技術開発の動向などを中心としたもので、(1)塩ビサッシ、サイディング、床材など全て塩ビ材料でできた塩ビミニハウス(Vien Pod)が、省エネ性、断熱性の高さから展示会等で注目を集めていること(2頁の記事参照)、(2)次世代対策として取り組んでいる小学校向け出前授業が好評を博していること、(3)VECの「リサイクルビジョン」に基づく技術開発支援の成果として、高速で壁紙を叩解する新たな壁紙のリサイクル技術が完成し、今後に大きな弾みが期待されること、(4)塩ビのリサイクル材を使った「フラクタル日除け」が都市のヒートアイランド緩和策として期待されていること、などを紹介。さにら、塩ビ再評価が進む官公庁や企業の動きなどにも言及した上で、「今後はこうした活動を通じて失われた需要を回復していきたい」(関専務理事)との考えを示しました。

●欧州でも塩ビのリサイクルが進展

 欧州からは、Vinyl2010(※欧州の塩ビ関連業界が結成した非営利団体。2010年を目処としたリサイクルの数値目標などを提示し、進捗状況を毎年公表している)による塩ビのリサイクルが、2008年には目標の20万トン近くに達したものの、2009年は経済の低迷を受けて若干ながら落ち込むとの見通しが示されたほか、REACH(※欧州における化学物質の登録、制限等に関する規則)に関連して、欧州企業や産業界が着実に準備を進めているとの説明も。
 また、欧州のエコラベルの最近の動きとして、木製家具の部品や履物において塩ビの忌避がなくなったことや、2012年のロンドンオリンピックに際し「持続可能性の点から塩ビはかなり貢献するだろう」とした英国経財相のコメントも紹介されました。

●北米の塩ビ産業は“曇りのち晴れ”の予報

 一方、VIからは「北米の塩ビ産業は現在厳しい状況にあるが、経済の回復と共に改善する見込みである」との見解が示されたほか、現在最も力を入れている建築分野への取り組みとして、「建築家、設計者を対象とした教育プログラムやグリーンビルディング基準作りに積極的に参加している」ることが紹介されました。
 また、塩ビ製品の良さを知ってもらう活動として「塩ビ推進ネットワーク」を組織し、活字媒体やインターネットを使った情報提供に取り組んでいること、科学的な根拠を持たないハロゲンフリーの動きに関連して州レベルの規制法案が数多く用意されているものの、その殆どが廃案になっていること、なども報告されました(2008年と2009年にカリフォルニア州で提案された塩ビ包装材料の使用禁止法案は否決されたとのこと)。