塩ビ製「防災型ウォーターフェンス」
水をもって水を制す!塩ビの特性を生かし、素早く手軽に浸水を防止
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駐車場の入り口に設置されたウォーターフェンス |
集中豪雨など異常気象の増加が懸念される中、都市機能を水害から守る設備として期待されているのが、(株)ナショナルマリンプラスチック(東京都品川区)の防災型「ウォーターフェンス」。塩ビの特性をフルに生かして、ビルや地下街への浸水を素早く防ぐアイデア製品の、「水をもって水を制する」秘訣とは─。 |
●引き出して水を注ぐだけ
昭和23年の設立以来、プラスチックの溶着加工技術を
軸に様々な製品を開発してきた(株)ナショナルマリンプラスチック。特にフレコン(塩ビ製の大量輸送用袋)のメーカーとしては半世紀近い実績を誇り、フレコンという言葉も同社の登録商標となっているほど。そうした豊富な技術の蓄積を防災の分野に展開したのが、水害時の止水設備として平成12年に開発された防災型「ウォーターフェンス」(平成19年12月特許取得)です。
「ウォーターフェンス」の使い方は、アコーディオン式の水槽を引き出してその中に水を注入するだけ。土嚢のように人手がいらず、短時間で楽に設置できるため、集中豪雨、水道管破裂などによるビルや地下街への浸水に素早く対応することができます。素材にはフレコンと同様、ポリエステル繊維の基布に塩ビを両面コーティングしたターポリンが使われており、「塩ビの耐磨耗性、柔軟性、加工性のよさ」を知り尽くした同社ならではの製品といえます。規格寸法は底辺0.5m、上辺0.25mの台形で(高さは0.3m)、長さは現場の状況に応じてオーダーメイドが可能。その特長をまとめてみると、
(1)消火栓の水を注入することでスピーディーな対応ができる(130リットル/分の屋内消火栓使用の場合、注水時間は長さ6mのタイプで約5分)。容量は675リットル(ドラム缶3本程度)
(2)アコーディオン式なので展張、設置が簡単で機能的(形状保持と転がり防止のため要所にピアノ台形鋼線を使用) (3)コンパクトな設計で保管場所を取らない(長さ6mのタイプでもたたむと約75cmに) (4)軟質塩ビ製なので接地面が凸凹でも高度な止水性能を発揮 (5)軽くて耐久性に優れ、反復使用ができる(重量は長さ6mのタイプで約35kg)
●防災設備としての塩ビの可能性
「ウォーターフェンス」の設置場所は、地下駐車場入口やビルの出入口、事務所玄関の傾斜地、スタジアムゲートなどが主なところで、既に新橋駅東口駐車場や東京都調布市の味の素スタジアム(入口7箇所)、江東区のビルなどでその効果は証明済み。同社では「危機管理意識の高い自治体や企業」をターゲットに販路を拡大中です。 時田周明社長(東日本プラスチック製品加工協同組合理事長)は、特に都市部の防災設備として塩ビが持つ可能性を次のように指摘しています。
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時田社長 |
「都市は確かに機能的で便利だが、地下道は整備されているのに瞬間的な大雨に弱いなど、アンバランスな部分も多く、都市化が進むほど弱点も出てくる。そうした都市のアンバランス、弱点を補う仮設資材として、丈夫でコストも安い塩ビは最適な素材だ。主役として表に出ることはないが、それがあって初めて全体が支えられる、という役目こそ塩ビの眼目で、そういうニーズさえ掴めば塩ビ素材を使用した製品にはまだまだ伸びる余地が残されている」
「ウォーターフェンス」のほかにも、越水止スイノウや止水連結スイノウ(ウォーターフェンスB型)、緊急給水用マリンテナーなど多彩な塩ビ製防災設備を開発しているナショナルマリンプラスチック。今後の商品展開に注目です。
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