2008年3月 No.64
 

塩ビサッシによる省エネリフォームが
減税制度の対象に

温暖化防止の切り札・塩ビサッシの普及へ、国が税制でバックアップ

 塩ビサッシの設置など住宅の省エネ改修を対象とした新たな減税措置が認められ、平成20年度の政府税制改正大綱の中に盛り込まれました。優れた省エネ・断熱効果で温暖化防止対策の切り札と期待される塩ビサッシの普及を、国 が税制面からバックアップするもので、来年度予算案の国会成立により正式に決定されることとなります。

●住宅ローンの一部を所得税控除

  新たに決定した減税制度は、居住用の家屋について窓を中心とする一定の省エネ改修を含む増改築等を行った場合、その工事のために借り入れた住宅ローンの一部を所得税から控除するもので、これと併せて、改修を行った住宅の固定資産税の減額も受けられる内容となっています。対象期間は平成20年4月から12月まで(固定資産税の減額措置は22年3月末まで)。詳細は以下のとおりです。
所得税控除 200万円を限度とする省エネ改修に係る借入金の年末残高の2%を5年間控除
固定資産税
減額
工事費用が30万円以上の改修工事が完了した翌年度分に限り、住宅に係る固定資産税を3分の1減額
  塩ビサッシメーカー、板硝子協会などで構成する樹脂サッシ普及促進委員会(JMADO)では、関係5団体((社)日本サッシ協会、プラスチックサッシ工業会、板硝子協会、全国複層硝子工業会、(社)日本建材・住宅設備産業協会)と連携して、2002年から塩ビサッシの認知度向上と普及支援制度の確立を求めて広報活動と政・官界への要望運動に取り組んできており、これまでに、NEDO(独立行政法人 新エネルギー・産業技術開発機構)の補助金制度創設(住宅の窓の断熱改修に掛かる材料・工事費用の3分の1を補助する制度)、環境省オフィスの内窓改修(既存の窓に内窓として塩ビサッシを加設)など、多くの成果を上げてきました。
  今回の省エネ改修に対する減税措置の決定も、こうした関係団体一丸の粘り強い運動により、国が塩ビサッシの有用性と普及の必要性を明確に認定した結果といえます。

●次は「投資減税制度」の実現へ

 樹脂サッシ普及促進委員会の市村浩信委員長は、要望実現までの経緯と今後の運動方針について次のように語っています。
 「省エネ改修に対する減税措置は2002年当初から最大の要望として掲げてきたものだが、なかなか実現に結びつけることができなかった。しかし、耐震改修、バリアフリー改修への減税制度が実現し、省エネ改修が見送られたことから、この期を逃したらもう後はないということで、去年の4月以降、関係行政当局や与党の税制調査会などに向けて精力的に要望活動を続けてきた。塩ビサッシで既築住宅の全てを内窓改修すれば3500万トンという膨大な量の二酸化炭素を削減できる試算もある。これは家庭部門から排出される分の約20%、京都議定書で日本に課せられた削減量の約20%に相当する量で、しかも、改修工事が増えれば地域の経済活性化にもつながる。要望活動の中で我々はこうした点を説明したが、政官界ともに温暖化防止のためには開口部をどうにかしなければならないという意識は高く、塩ビサッシの有効性についてはっきりと認識してもらうことができたと思う。その結果、国の厳しい財政事情から一旦は検討項目から外されかけたという話もあったが、住宅ローン減税制度の最終年度に当たってようやく要望を実現することができた。
 我々の基本的な目標はあくまで投資減税制度(ローンだけでなく省エネ改修の全ての投資を対象とした減税)の実現にあるが、今回の決定はこの目標へ向けて足掛かりを確保したことを意味する。今後は、この成果をベースに投資減税を実現すべく改めて各界への働きかけを強化していきたい」