2007年9月 No.62
 

「建築系混合廃棄物の組成及び 原単位調査結果」から

  新築工事現場から発生する混合廃棄物の実態を把握することで、現場分別やリサイクルの計画的推進、排出量 の削減につなげる─。(社)建築業協会、(社)全国産業廃棄物連合会、関東建設廃棄物協同組合の3者が共同で実施 した建設系混合廃棄物の組成及び原単位調査の報告書がまとまりました。塩ビ建材廃棄物の状況を中心に、調 査結果のポイントをご紹介します。

●組成調査─廃プラの排出量は全体の4分の1

 建築系混合廃棄物の組成分析調査はほぼ5年ごとに実 施されているもので、今回は平成18年11月20日〜24日 まで、千葉県内の建築業協会会員各社が施工した新築 工事現場68件から排出された混合廃棄物計約100トン (容量約370m3)を対象に、分別、計量などの作業が行 われました。
  この結果、容量では前回(平成13年)同様、廃プラス チック・紙くず・木くずの順で多く、全体の25.7%を占 める廃プラスチックは、ここ3回の調査でも大きな変 化は見られないことがわかりました(図1)。
 また、廃プラスチック類の中身をさらに詳しく見てみると、塩ビ管2.0%、タイルカーペット0.1%、ビニール クロス1.6%、その他廃プラ21.9%(容量)などとなって います。このうちタイルカーペットとビニールクロスは 今回新たに調査品目として追加されたものですが、塩 ビ建材については、既に全国的なリサイクルシステム が完成している塩ビ管だけでなく、タイルカーペット についても新たな技術開発や事業化によってリサイクルの取り組みが進みつつあり、再資源化の更なる進展 が期待されています(本号トップ・ニュース参照)。


●原単位調査─課題は発生抑制と分別方法見直し

 一方、原単位調査は、混合廃棄物の排出量を原単位 (s /m2)として数値化することで、工事施工前におけ る排出量を把握し、排出抑制目標を掲げ、排出量の抑 制を促進することを目的に毎年実施されているもの。 平成17年度は、1都3県(埼玉、千葉、神奈川)で行 われた新築工事((社)建築業協会副産物部会会員各社) を対象に、廃棄物の排出量を算出しています。
  これによりますと、平成17年度の混合廃棄物の原単位 は16kg/m2で、同年度の目標値である17kg/m2はクリ アーしているものの、ここ3年間の推移は全くの横這 い状態。今後、この数値が減少、改善されるかは不確 定で、平成22年度の目標値12kg/m2の達成は予断を許 さない状況にあり、報告書は「発生抑制と分別方法の 見直しによる原単位の改善が必要」と結んでいます (図2)。