使用済み塩ビ管・継手のリサイクル事
業、着実に進化
リサイクル協力会社1社、中間処理拠点として2社が新規加入。
リサイクル拠点は全国63拠点
塩化ビニル管・継手協会が取り組んでいる「使用済み塩ビ管・継手のリサイクル事業」に、昨年4月
以降、リサイクル協力会社として1社、中間処理拠点として2社が新規加入しました。循環型社会の構
築という社会の要請に応えるべく、着実に進化し続ける塩ビ管・継手のリサイクルシステム。事業の現況と3社のプロフィールをご紹介します。 |
● 年間2万2千トンをリサイクル。リサイクル
率は61%に
塩化ビニル管・継手協会(以下、協会)が使用済み
塩ビ管・継手のリサイクル事業に着手したのは平成10
年。以後、“パイプからパイプへ”のマテリアルリサイ
クルを基本に(一部、高温加熱して各種化学原料とし
て再利用するフィードストックリサイクルを含む)、全
国規模の回収システムの構築や再生品の開発を積極的
に進めてきました。この結果、リサイクル率は当初の
40%(平成11年度)から61%(平成18年度)に向上し、
リサイクル量も年間約2万2千トンに達しています。
塩ビ管・継手のリサイクルシステムは、(1)使用済み
塩ビ管・継手をリサイクル原料(粉砕品、ペレット、
微粉砕品)や再生塩ビ管に加工するリサイクル協力会
社、(2)各地の工事現場や建設現場から排出される使用
済み製品を受け入れる中間受入場、(3)使用済み製品を
受け入れ、前処理(選別、異物除去)〜粉砕までを行
う契約中間処理会社、(4)リサイクル協力会社が製造し
た原料を再生塩ビ管に加工する協会正会員会社(塩ビ
管・継手メーカー)、の4つで構成されています。今
回、新たにリサイクル協力会社1社、契約中間処理会社2社が加わったことで、全国のリサイクル拠点の数は、
中間受入場33拠点、契約中間処理会社10社12拠点、リ
サイクル協力会社14社18拠点の計63拠点となりました
(詳しくは協会のホームページ参照。 http://www.ppfa.gr.jp)。
●(株)三芳屋 ─東北一円のリサイクル協力会社
として期待
東北一円、
特に南東北地
区のリサイク
ル協力会社と
しての役割を
期待されるの
が、(株)三芳屋
(遠藤吉明社長/山形県米沢市金池2-1-10/TEL;
0238-37-8325 E-mail;prantecjapan@if-ne.jp)です。
同社は昭和25年の設立以来、酒類や健康機能性食品
の販売などを中心に事業を展開してきましたが、平成
17年から「リサイクルを通じて地球温暖化と環境の改
善へ」をスローガンに廃プラスチックのリサイクルに
進出。国道13号線沿いに工場を有し(米沢市中田町)、
山形市や福島市へ車で約1時間、仙台市や新潟市へは
約2時間半という地の利を生かし、周辺企業のリサイ
クルの受け皿として熱心な活動を進めています。その
一貫として、今年3月から塩ビ管・継手のリサイクル
事業に参加。処理能力月間450トンの設備を導入し、破
砕・粉砕までのリサイクル事業を行っています。
【遠藤社長のコメント】
上下水道という人類繁栄の一
端を担うライフラインを確保する上で塩ビ管・継手の
役割りは大きい。しかし残念なことに、その貴重な製
品が役目を終えた後にはゴミとして処分されている。これをリサイクルして資源循環型社会の形成に向け取
り組んでいかないと将来に汚点を残すことになると思
い、協会の事業に協力することとした。東北一円の拠
点としてリサイクルに取り組むだけでなく、啓発活動
や広報活動を行い、また環境問題や省エネルギー等の
分野においても山形大学など地元の研究機関と連携を
図りつつ積極的に活動していきたい。
● 武田機工(株) ─名古屋経済圏リサイクル拠点
の整備ほぼ完了
昨年4月か
ら協会のリサ
イクル事業に
参加している
武田機工(株)
(武田一成社
長/愛知県岡
崎市欠町字金谷3-1 /TEL;0564-26-5130 URL;
http://www.takeda-k.jp)は、昭和27年の設立以降、配
管・空調設備の設計施工や配管資材の加工・販売など
をメインとしてきた会社です。
同社では、長年塩ビ管の販売に携わってきた経験か
ら、「塩ビ管・継手のリサイクルに取り組み社会的な責
任を果たしたい」という動機でリサイクル事業への参
加を決定。スタートに際して新たに中間処理業の許可
を取得するとともに、新工場を建設し(額田リサイク
ル工場、愛知県額田郡額田町大字桜井寺字川向9-1)、
前処理から粉砕、洗浄・乾燥までを行う一貫処理設備
(処理能力年間1000トン)を導入しています。同社の加
入により、豊橋、浜松など静岡県西部も視野に入れた
名古屋経済圏のリサイクル拠点整備は、ほぼ完了した
こととなります。
【武田社長のコメント】
これまで水流、空調を軸と
する各種設備の関連業務に携わり、塩ビ管・継手の販
売も行ってきた当社にとって、使用済み塩ビ管のリサ
イクルは当然の責務だ。愛知県では埋立処分場の残量
も少なくなっており、近年処分費用の高騰が続いてい
る。協会の事業に参加することで塩ビ管・継手のリサ
イクル率向上に寄与し、拡大生産者責任を果たしていきたい。また、そのことにより行政や民間(建設会社)
からの信頼度を上げ、受注数量を増やしていきたいと
も考えている。新しい時代を迎えた今、企業も時代と
ともに進化しなければならない。
●(有)テイアイコレクション ─関連会社(有)エー
ビーシー化成と共同参加
産廃中間
処理・収集
運搬業の(有)テイアイコレ
クション(荒
井秀男社長
/ 栃木県宇
都宮市新里町丁1123−1/TEL;028-665-7110)は、プ
ラスチックリサイクル専門の関連会社(有)エービーシー
化成(荒井秋男社長/栃木県宇都宮市新里町丁984-1/
TEL;028-665-1422)と共に、昨年8月から協会のリサ
イクル事業に参加しました(テイアイコレクションが
前処理〜破砕まで、エービーシー化成が粉砕を担当)。
同社はISO14001の取得など環境・自然保護にも熱心
で、平成15年に(有)エービーシー化成を設立して以来、
RPFを含めて幅広くプラスチックのリサイクルに取り
組んでいます。塩ビ管・継手のリサイクルについても
協会の事業参加以前から既に実績があり、今後、北関
東の拠点として既存の中間処理会社やリサイクル協力
会社と連動した活躍が期待されます。同社の処理能力
は年間1000トン。
【荒井社長のコメント】
近年、環境保全、環境保護
に対する社会的な認識が強まり、各排出事業者の間に
も再資源化、再利用という意識が定着してきた。栃木
県でも廃プラスチックのリサイクル率および施設は増
加傾向にあるが、塩ビ管のリサイクル施設はまだ少な
く、業者の要望に応じられない状況となっていた。そ
の一方で最終処分場の減少は確実に進んでいる。こう
した状況を踏まえて、当社から申請して協会のリサイ
クル事業に参加することとした。RPFを始める同業者
は多いが、塩ビ管を受け入れてくれるところは少ない。
塩ビ管のリサイクルはこれから有望と考える。 |