2007年9月 No.62
 

使用済み塩ビ管・継手のリサイクル事 業、着実に進化

リサイクル協力会社1社、中間処理拠点として2社が新規加入。
リサイクル拠点は全国63拠点

  塩化ビニル管・継手協会が取り組んでいる「使用済み塩ビ管・継手のリサイクル事業」に、昨年4月 以降、リサイクル協力会社として1社、中間処理拠点として2社が新規加入しました。循環型社会の構 築という社会の要請に応えるべく、着実に進化し続ける塩ビ管・継手のリサイクルシステム。事業の現況と3社のプロフィールをご紹介します。


● 年間2万2千トンをリサイクル。リサイクル 率は61%に


 塩化ビニル管・継手協会(以下、協会)が使用済み 塩ビ管・継手のリサイクル事業に着手したのは平成10 年。以後、“パイプからパイプへ”のマテリアルリサイ クルを基本に(一部、高温加熱して各種化学原料とし て再利用するフィードストックリサイクルを含む)、全 国規模の回収システムの構築や再生品の開発を積極的 に進めてきました。この結果、リサイクル率は当初の 40%(平成11年度)から61%(平成18年度)に向上し、 リサイクル量も年間約2万2千トンに達しています。
 塩ビ管・継手のリサイクルシステムは、(1)使用済み 塩ビ管・継手をリサイクル原料(粉砕品、ペレット、 微粉砕品)や再生塩ビ管に加工するリサイクル協力会 社、(2)各地の工事現場や建設現場から排出される使用 済み製品を受け入れる中間受入場、(3)使用済み製品を 受け入れ、前処理(選別、異物除去)〜粉砕までを行 う契約中間処理会社、(4)リサイクル協力会社が製造し た原料を再生塩ビ管に加工する協会正会員会社(塩ビ 管・継手メーカー)、の4つで構成されています。今 回、新たにリサイクル協力会社1社、契約中間処理会社2社が加わったことで、全国のリサイクル拠点の数は、 中間受入場33拠点、契約中間処理会社10社12拠点、リ サイクル協力会社14社18拠点の計63拠点となりました (詳しくは協会のホームページ参照。 http://www.ppfa.gr.jp)。

●(株)三芳屋 ─東北一円のリサイクル協力会社 として期待

 東北一円、 特に南東北地 区のリサイク ル協力会社と しての役割を 期待されるの が、(株)三芳屋 (遠藤吉明社長/山形県米沢市金池2-1-10/TEL; 0238-37-8325 E-mail;prantecjapan@if-ne.jp)です。
  同社は昭和25年の設立以来、酒類や健康機能性食品 の販売などを中心に事業を展開してきましたが、平成 17年から「リサイクルを通じて地球温暖化と環境の改 善へ」をスローガンに廃プラスチックのリサイクルに 進出。国道13号線沿いに工場を有し(米沢市中田町)、 山形市や福島市へ車で約1時間、仙台市や新潟市へは 約2時間半という地の利を生かし、周辺企業のリサイ クルの受け皿として熱心な活動を進めています。その 一貫として、今年3月から塩ビ管・継手のリサイクル 事業に参加。処理能力月間450トンの設備を導入し、破 砕・粉砕までのリサイクル事業を行っています。

【遠藤社長のコメント】
  上下水道という人類繁栄の一 端を担うライフラインを確保する上で塩ビ管・継手の 役割りは大きい。しかし残念なことに、その貴重な製 品が役目を終えた後にはゴミとして処分されている。これをリサイクルして資源循環型社会の形成に向け取 り組んでいかないと将来に汚点を残すことになると思 い、協会の事業に協力することとした。東北一円の拠 点としてリサイクルに取り組むだけでなく、啓発活動 や広報活動を行い、また環境問題や省エネルギー等の 分野においても山形大学など地元の研究機関と連携を 図りつつ積極的に活動していきたい。

● 武田機工(株) ─名古屋経済圏リサイクル拠点 の整備ほぼ完了

  昨年4月か ら協会のリサ イクル事業に 参加している 武田機工(株) (武田一成社 長/愛知県岡 崎市欠町字金谷3-1 /TEL;0564-26-5130 URL; http://www.takeda-k.jp)は、昭和27年の設立以降、配 管・空調設備の設計施工や配管資材の加工・販売など をメインとしてきた会社です。
 同社では、長年塩ビ管の販売に携わってきた経験か ら、「塩ビ管・継手のリサイクルに取り組み社会的な責 任を果たしたい」という動機でリサイクル事業への参 加を決定。スタートに際して新たに中間処理業の許可 を取得するとともに、新工場を建設し(額田リサイク ル工場、愛知県額田郡額田町大字桜井寺字川向9-1)、 前処理から粉砕、洗浄・乾燥までを行う一貫処理設備 (処理能力年間1000トン)を導入しています。同社の加 入により、豊橋、浜松など静岡県西部も視野に入れた 名古屋経済圏のリサイクル拠点整備は、ほぼ完了した こととなります。

【武田社長のコメント】
  これまで水流、空調を軸と する各種設備の関連業務に携わり、塩ビ管・継手の販 売も行ってきた当社にとって、使用済み塩ビ管のリサ イクルは当然の責務だ。愛知県では埋立処分場の残量 も少なくなっており、近年処分費用の高騰が続いてい る。協会の事業に参加することで塩ビ管・継手のリサ イクル率向上に寄与し、拡大生産者責任を果たしていきたい。また、そのことにより行政や民間(建設会社) からの信頼度を上げ、受注数量を増やしていきたいと も考えている。新しい時代を迎えた今、企業も時代と ともに進化しなければならない。

●(有)テイアイコレクション ─関連会社(有)エー ビーシー化成と共同参加

 産廃中間 処理・収集 運搬業の(有)テイアイコレ クション(荒 井秀男社長 / 栃木県宇 都宮市新里町丁1123−1/TEL;028-665-7110)は、プ ラスチックリサイクル専門の関連会社(有)エービーシー 化成(荒井秋男社長/栃木県宇都宮市新里町丁984-1/ TEL;028-665-1422)と共に、昨年8月から協会のリサ イクル事業に参加しました(テイアイコレクションが 前処理〜破砕まで、エービーシー化成が粉砕を担当)。
 同社はISO14001の取得など環境・自然保護にも熱心 で、平成15年に(有)エービーシー化成を設立して以来、 RPFを含めて幅広くプラスチックのリサイクルに取り 組んでいます。塩ビ管・継手のリサイクルについても 協会の事業参加以前から既に実績があり、今後、北関 東の拠点として既存の中間処理会社やリサイクル協力 会社と連動した活躍が期待されます。同社の処理能力 は年間1000トン。

【荒井社長のコメント】
  近年、環境保全、環境保護 に対する社会的な認識が強まり、各排出事業者の間に も再資源化、再利用という意識が定着してきた。栃木 県でも廃プラスチックのリサイクル率および施設は増 加傾向にあるが、塩ビ管のリサイクル施設はまだ少な く、業者の要望に応じられない状況となっていた。そ の一方で最終処分場の減少は確実に進んでいる。こう した状況を踏まえて、当社から申請して協会のリサイ クル事業に参加することとした。RPFを始める同業者 は多いが、塩ビ管を受け入れてくれるところは少ない。 塩ビ管のリサイクルはこれから有望と考える。