コベルコ・ビニループ・イースト社の事業は、ベルギーの化学メーカー・ソルベイ(SOLVAY)が開発した「Vinyloop(R)プロセス」(以下、ビニループプロセス)を用いて塩ビのマテリアルリサイクルに取り組むもので、これまで埋立てられてきた使用済み塩ビ製品の有効利用を加速する日本初の試みとして、関係者の注目を集めています。
ビニループプロセスは、塩ビをリサイクルしてループ(円環)状に循環させていく、という意味の造語です。ソルベイ社では1997年末にその基礎開発に着手した後、98年末にベルギーに250リットル規模のパイロット・プラントを設置、続く2000年には北イタリアのフェラーラに1万トン規模の実証設備を建設するなどして技術を完成しました。今回のコベルコ・ビニループ・イースト社の取り組みは、ビニループプロセスの実用プラントとしては世界で2番目のケースということになりますが、プラスチック廃棄物の埋立制限強化が進むヨーロッパなどでも、今後このプロセスの導入を検討する国が増えてくるものと予想されています。
ビニループプロセスでは、特殊な溶剤を使って廃棄物の中の塩ビだけを溶かすことにより他の素材と分離します。このため、どのような形状の塩ビでも処理可能で、特に、ポリオレフィン系のフィルムが混入しやすい農業用ビニル(農ビ)や、強力に結合していて機械的に分離できないような複合製品(壁紙、床材、電線被覆材など)のリサイクルに大きな威力を発揮します。
農ビの場合、通常のリサイクルでは比重分離で塩ビとポリオレフィンを分けるのが一般的ですが、ビニループではそうした手間もいらず、万一ポリオレフィンが紛れ込んでも最後には完全に分離することができます。
また、溶解・分離した塩ビは、後に述べるような方法で再び新しい塩ビコンパウンドに生まれ変わりますが、その品質は物性的に新品とほとんど変わらない上、粒形の均一な顆粒(200ミクロン〜300ミクロン)として再生されるため、添加剤(可塑剤、安定剤など)を調合して再生前の製品と同じ用途に使用することも可能です。
★ビニループプロセスの利点
- あらゆるタイプの使用済み塩ビ製品の処理に有効
- 純度100%に近い新しい形の塩ビコンパウンドとして再生
- 再生された塩ビはバージン材に匹敵
- 電線to電線など、元の用途へのマテリアルリサイクルが可能
- 塩ビから分離された2次回収物(ポリエチレンなど)も別途リサイクル可能
|
|
|