高まる、塩ビ製品の環境評価―
「通気用リサイクル塩ビ管」と「塩ビ床材」が、グリーン購入法の<特定調達品目>に
リサイクルの取り組みや環境性能を評価。再生塩ビ管はJIS規格制定
|
通気用のリサイクル塩ビ管と塩ビ系床材が、相次いでグリーン購入法の特定調達品目(公共工事)に指定されました(平成18年2月28日閣議決定)。いずれもリサイクルの取り組みや製品の環境性能などが評価されたもの。また、再生塩ビ管については日本工業規格(JIS)が新たに制定され、今後の公共工事での採用に弾みがつくものと予想されます。 |
|
再生塩ビ管、排水用に続き通気用に追加指定
|
グリーン購入法(正式名称「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律」、平成13年4月施行)は、国の機関や独立行政法人などに環境負荷の少ない物品を選んで購入することを義務付ける法律です。「特定調達品目」は、環境物品の中でも「重点的に調達に取り組むべきもの」として指定されるもので、毎年、具体的な品目とその判断基準が示されます。
今回、建物内の通気用として特定調達品目に指定されたリサイクル塩ビ管は、判断基準(下記)「使用済塩ビ管のリサイクル原料を30%(重量比)以上使用されていること」、配慮事項(下記)「使用後に回収され再生利用される仕組みが整っていること」となっており、協会規格に基づいて製造される再生塩ビ管は全てその対象となりますが、「リサイクル発泡三層管」が主に使用される管種となります。
再生塩ビ管については、協会を中心とするリサイクル事業が進展する中、既に平成15年に排水用として特定調達品目指定が行われていますが、今回通気用として追加指定されたことにより、その役割はさらに広がることとなりました。
また、グリーン購入法には、国だけでなく地方公共団体についても、国の方針に基づいてグリーン調達を推進する努力義務が定められており、今後、国の直轄工事や公共団体、自治体などが行う建設事業の資材として再生塩ビ管採用の動きがさらに加速することが期待されます。
|
再生塩ビ管2種にJIS制定
|
グリーン購入法の特定調達品目指定に続いて、再生塩ビ管のJIS規格が3月25日付けで制定されました。
今回、JISが制定されたのは、前記協会規格3製品のうちリサイクル三層管(JIS番号 K9797)とリサイクル発泡三層管(JIS番号 K9798)で、いずれも「生産及び使用の合理化、品質の向上を図るために」標準化が行われたもの。
塩化ビニル管・継手協会では、「再生塩ビ管は、グリーン購入法の特定調達品目ということもあって、これまでは一種の特例扱いで採用されてきた形だが、今回のJIS制定は正式に国のお墨付きを受けたことを意味する。これは、業界にとって大きな成果と言える」と話しています。
なお、協会では当面これまでの協会規格を維持していく方針ですが、将来的には協会規格に代わるものとしてJIS規格を位置づけています。 |
塩ビ床材のグリーン認定でリサイクルにも励み
|
塩ビ床材とは、ビニル床タイル、ビニル床シート、クッションフロアなどの総称で、快適な住まい、オフィスづくりには欠かせない塩ビ製品のひとつです。また、塩ビ床材は、これまでも使用済み農業用ビニルなどを原料の一部に利用することで、塩ビリサイクルの重要な受け皿となってきました。
今回、塩ビ床材がグリーン購入法の特定調達品目として新たに指定されたのは、その環境性能の高さへの評価と同時に、こうしたリサイクル性のよさなどが配慮された結果といえます。
床材メーカー8社で構成するインテリアフロア工業会では、グリーン購入法が制定された平成13年から特定調達品目の指定をめざして働きかけを行ってきましたが、環境性能を客観的に示すデータの集積が遅れていたことから、一旦その活動を中断。その後、LCA(ライフサイクル・アセスメント)調査を実施して、エネルギー消費の少なさ、リサイクル性の高さなど、環境性能を定量的に明らかにする一方、平成15年からは加盟8社が協力して工場内や施工現場で発生する端材・余材などのリサイクルシステムづくりに着手し、塩ビ床材が環境負荷の低減に役立つことを積極的に訴えてきました。
今回示された判断基準では、「再生ビニル樹脂系材料の合計重量が製品の総重量比で15%以上使用されていること」となっており(下表)、加盟8社が製造している塩ビ床材のうち、技術的に再生原料の利用が難しいクッションフロアを除いて、約75%がグリーン購入法対象品に適合することになります。
今回の指定を受けて、インテリアフロア工業会では、グリーン購入法適合ビニル系床材に関する管理規定を作成し、品質および安全面に配慮した製品づくりに取り組んでいく方針。また、識別が容易になるよう、図(左)のようなロゴマークをカタログ・サンプル帳・梱包材などへ表示することにしています。
|
|