2006年3月 No.56
 
 

 使用済み塩ビ管・継手のリサイクルシステム、さらに拡充
   中間処理拠点として3社が新規参加。リサイクル拠点数は全国63カ所に

  

    塩化ビニル管・継手協会が平成10年から取り組んでいる「使用済み塩ビ管・継手のリサイクル事業」。このほど、その中間処理拠点(汚れや異物が付着したままの使用済み品を受け入れ、前処理〜粉砕を行う施設)として新たに3社の参加が決定し、リサイクル促進へ向けた事業体制はさらに拡充されることとなりました。  

年間2万トン近いリサイクル実績

 

  塩化ビニル管・継手協会の使用済み塩ビ管・継手リサイクル事業は、“パイプからパイプへ”のマテリアルリサイクルが基本です。各地の工事現場や建設現場から排出される使用済み製品を、最寄りの受入拠点(中間受入場)に集めて、協会と契約を結んだメーカー(リサイクル協力会社)がリサイクル原料や再生塩ビ管に、協会会員会社がリサイクル三層塩ビ管に加工する仕組みで、平成15年度からは、排出者が前処理(汚れ落しや異物除去)する手間を省くために、中間処理拠点(契約中間処理会社)を新設。この結果、リサイクル率は56%に向上(平成16年度)し、年間2万トン近いリサイクル実績をあげています。
 また、今回、中間処理拠点として新たに3社が加わったことで、平成18年2月現在におけるリサイクル拠点の数は、協力会社15社20拠点、中間受入場33拠点、中間処理会社10社12拠点(うち2拠点は、協力会社も兼ねる)の計63拠点に拡大しました。
 以下、3社のプロフィールを簡単にご紹介します。

   

(有)三豊−洗浄設備の開発など独創的活動

 
  平成6年11月に設立された(有)三豊(本郷辰豊社長/茨城県神栖市鰐川25−345/Tel.0299-92-6607;URL= http://www.sopia.or.jp/rinne)は、設備工事を主体とする建設業者ですが、仕事柄大量の塩ビ管を取り扱ってきた経緯から塩ビ管・継手のリサイクルに共感、わずか1年という短期間で廃プラスチック中間処理の認可を取得(昨年12月)して、協会の事業に参加することとなりました。こうした行動力に加え、水槽で泡洗浄する安価な洗浄設備を開発するなど独創性にも富み、契約中間処理のモデルのひとつになり得る可能性を秘めた事業者と言えます。同社の処理内容は、使用済み塩ビ管・継手の前処理から切断、洗浄粉砕まで。実際の受け入れと処理は、茨城県稲敷市に新設したリサイクルセンター(処理能力100トン/月)で行なうことになっています。


・本郷社長のコメント
 設備工事会社として塩ビ管を大量に使用してきたため、社会的責任という意味からも塩ビ管のリサイクルにはかねてから関心を持っていた。また、埋立処分場の物理的な限界、これに依存することの経済的な負担増、さらにはリサイクルと循環型社会への認知度の高まりなど、近年の社会的な動向も協会の事業に参加した力となっている。当社としても今後積極的にこの動きに関わり、社会的責任を果たすことで信用度と競争力を高めつつ、経営に生かしていきたいと思う。

   

(株)クリーン技研−中国地方の重要拠点に

 
  (株)クリーン技研(黒田七郎社長/広島県広島市安芸区阿戸町783‐1/Tel. 082-856-1008;URL= http://www.clean-giken.co.jp)は、平成7年10月の設立以降、一貫して廃プラスチックの中間処理およびリサイクル製品の開発・製造に取り組んできた会社で、黒田社長は、広島県の資源循環広域システム構築事業(廃プラスチック類)の検討委員会に委員として参加するなど、その活動には地元の行政からも高い信頼が寄せられています。塩ビ管のリサイクル(粉砕まで)に携わるのは今回が初めてですが、プラスチックのリサイクル業者として技術の蓄積がある上、設備面で塩ビ専用の粉砕機(処理能力30トン/月)を設置していること、地理的にも大都市・広島市の東部に位置し、安定した受け入れ回収量が見込まれることなど、中国地方の中間処理拠点としてその活躍が期待されます。



・黒田社長のコメント
 県の資源循環広域システム構築事業検討委員会で協議を行ったところ、主に建材系の塩ビ製品のリサイクルが重要な課題として議論された。その背景には、埋立処分場の延命の問題や処分料金の高騰の問題がある。塩ビ管のリサイクルについては従来から要請を受けていたが、今回、協会のリサイクル事業に参加することで、より一層リサイクル率の向上に寄与していきたい。また、行政や民間(建設会社)からの信頼度を上げ、受注数量を増やしていきたいと考えている。

   

   

(株)チューサイ−最新式の設備を駆使して

 
  昭和52年6月設立の (株)チューサイ(渡辺和良社長/静岡県志太郡大井川町相川2098/Tel. 054-622-1130;URL= http://www.chusai.co.jp)は、平成11年から主にサーマルリサイクルを開始。翌平成12年からは破砕洗浄からペレット化までの一貫ラインを導入、マテリアルリサイクルを開始し、静岡県初のプラスチックでの「再生事業者」の知事登録も果たしました。塩ビについては高炉メーカーの塩酸化プラントへの委託処理などを行ってきましたが、塩ビ管・継手のリサイクル(粉砕まで)は今回が初めて。意欲的な若手経営者の下、二軸破砕機など最新式の設備(処理能力1,200t/月うち塩ビ40t/月)を駆使した今後の取り組みが注目されます。




・渡辺社長のコメント
 静岡県中部という日本の生産と物流の大企業が拠点を集中立地する恵まれた地域にあって、廃プラのマテリアルリサイクルに集中して扱量の拡大を図ってきました。このたび新たに塩化ビニル管・継手協会との取引によりリサイクルの道が拓けることに大変期待しています。建設関係からの塩ビ管のリサイクルへの要望の強さは身に沁みて感じており、廃プラリサイクルの間口を広げることでの差別化、塩化ビニル管・継手協会との契約による信用力の強化で、受注拡大とリサイクル率の一層の向上にチャレンジしていきたいと思います。