●課題克服へ関係25社が結集
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建物の新築、解体工事などから発生する建設廃棄物については、平成14年5月の建設リサイクル法(建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律)全面施行を契機に、指定4品目(コンクリート、アスファルト、木材など)を中心とした有効利用が進められています。しかし、廃プラスチックや瓦礫など、さまざまな素材が混ざり合って分別が難しい建設混合廃棄物のリサイクル率は、全国平均でほぼ10%程度にとどまっているのが現状。建設混合廃棄物をどうやって資源として再生し有効利用していくかは、依然、残された大きな課題となっています。
リサイクル・ピアは、こうした課題の克服をめざして、建廃処理の大手(株)タケエイを中心に、ゼネコン、資材メーカー、環境関連企業など計25社が平成15年3月に共同設立したもので、東京都が臨海部で展開するスーパーエコタウン事業(別項)の選定プロジェクトのひとつとして、その準備段階から各方面の注目を集めてきました。 |
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東京都スーパーエコタウン事業の概要
国の都市再生プロジェクトの一環として、「廃棄物問題の解決と新たな環境産業の立地の促進」「循環型社会への変革」などを目的に、東京都が平成14年度から取り組んでいるリサイクル・廃棄物処理施設の整備事業。
都は、東京臨海部に施設の立地に必要な都有地を確保・整備し、公募により民間事業者の決定を行うとともに、計画全体の推進、調整に当たる。選定された事業者は、都有地を取得し、事業採算性を確保しながら施設の整備・運営を自ら行う。建設混合廃棄物リサイクル施設のほか、PCB廃棄物処理施設、ガス化溶融等発電施設、食品廃棄物リサイクル施設などの整備が進められている。リサイクル・ピアの選定は平成14年7月。
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●国内最大級の中間処理施設
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リサイクル・ピアの事業は、後にふれるような各種先進技術の導入により建設混合廃棄物を効率的に分別、これまで埋立処分せざるを得なかった集塵ダストや、ミンチされた混合廃棄物等を、サーマルリサイクルなどを含めて、94%以上まで再資源化していこうというもので、その処理拠点となるのが、今年1月に竣工した東京エコタウン工場です。敷地面積およそ9,000平方メートル、5階建て延床面積約1万平方メートル(建築面積3,000平方メートル)の建屋は、建設廃棄物の中間処理施設としては国内最大級。
操業開始から半年を経過した現状について、東京エコタウン工場の松島修工場長は、
「許可を頂いてから3月一杯、試運転と調整を行って、4月1日から本格稼働に入った。7月からは夜間受入も開始し、2005年度の目標である稼働率80%は十分に達成出来ると思う」と説明しています。
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●高度処理を支える最先端技術
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東京エコタウン工場の処理工程は高度にシステム化されていて、ラインに投入された廃棄物は、まず石膏ボードや廃プラスチック(塩ビ製品では塩ビ管や塩ビ電線等)など単品でリサイクルできるものが選別された後、1階、2階、4階の間を環流(垂直搬送)しつつ、粗選別・精選別工程などを経て再生処埋される仕組み(フロー図参照)。
廃プラスチックの場合、RDF(固形燃料)や製鉄副資材(後述)の原料として再資源化されるほか、将来的には、東京電力グループが建設中のガス化溶融等発電施設(平成18年末稼働予定)での利用も計画されています。
ライン中、技術面で特に重要な意味を持つのが、大型ロールスクリーン(自動選別機)、集塵ダストの製鉄副資材化設備、磨砕洗浄設備の3点で、いずれも、環境省の国庫補助の対象となった最先端技術です。
このうち、2階の展開・機械選別ラインに配置されたロールスクリーンは、算盤状に並んだ多角形ディスクの回転を利用して廃棄物を粒度選別するもので、日本初となるこの技術の導入により、これまで人手に頼ってきた粗選別工程は飛躍的に効率化されることとなりました。一方、集塵ダストの製鉄副資材化設備は、廃棄物中の粉塵ダストに木くずと廃プラスチック等を混ぜて圧縮固形化し、製鉄用の添加剤(フォーミング抑制剤)として利用する手法で、製鉄会社との協力で開発したもの。また、土砂や瓦礫などを水だけで「米をとぐように」磨り揉む磨砕洗浄設備も、土石資源の再生率向上を可能とした同社が誇る新技術です。
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●チャレンジはこれからが本番
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事業の将来について松島工場長は、「まずは稼働率の今年度内80%達成が直近の課題だが、行く行くは現在の技術やノウハウを更に発展させ、新たなリサイクル手法の開発に役立てていきたい。また、分別精度をもっと上げるためには人材教育のレベルアップも必要だろうし、多くの関係者からもアドバイスをいただきたい。建設混合廃棄物の処理はひとりの力ではできない」と述べています。
最後に、このプロジェクトを推進してきた(株)タケエイの堤恵美子取締役に今後の抱負を伺いました。
「東京エコタウン工場は世界でも有数の先端施設であり、私たちは建設混合廃棄物の有効利用に関する技術とノウハウのありったけをここに注ぎ込んだ。廃棄物はごみではない。技術を駆使して可能な限り努力すれば資源として立派に役立てることができる。このことを社会に訴えていきたい」
注目企業のチャレンジはこれから本番を迎えます。 |
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