2005年9月 No.54
 
 

 使用済み塩ビ管・継手のリサイクルシステムを強化
   中間処理拠点に青南建設(株)と平木工業(株)を追加。システムの利便性さらにアップ

 

    塩化ビニル管・継手協会が運営する「使用済み塩ビ管のリサイクルシステム」がさらに強化されました。汚れや異物が付着したままの使用済み品を受け入れ、前処理〜粉砕を行う中間処理拠点として、青南建設(株)(東京都八王子市、青梅市)と平木工業(株)(長崎県長崎市)の2社3拠点を新たに追加したもので、両社は既にこの6月から受入をスタートしています。  

 

リサイクル拠点は全国60カ所に

 

  塩化ビニル管・継手協会(以下「協会」)は、使用済み塩ビ管・継手の有効利用促進をめざして、平成10年度から全国的なリサイクル・システムづくりに取り組んでいます。
 この取り組みは、“パイプからパイプへ”のマテリアルリサイクル促進が基本的な狙いで、各地の工事現場や建設現場から排出される使用済み塩ビ管・継手を、排出者が前処理を行ったのち全国各県にある最寄の受入拠点に持ち込み、協会と契約を結んだ再生会社(リサイクル協力会社)が再び再生原料や塩ビ管に加工するものです。更にこのシステムに加え、平成15年度からは、「汚れたものをそのまま受け入れて欲しい」「前処理(汚れ落しや異物除去)をする時間や場所がない」といった排出者からの強い要望に応えて、中間処理拠点(契約中間処理会社)を新設、排出者の手間を省いてリサイクル促進を図る拡充システムがスタートしています。この結果、リサイクル率も平成11年度の40%から16年度には56%と着実に向上してきました。
 今回、中間処理拠点として青南建設(株)と平木工業(株)の2社が新たに追加されたことで、平成17年6月現在におけるリサイクル拠点の数は、協力会社15社20拠点、中間受入場33拠点、中間処理会社7社9拠点(うち2拠点は、協力会社も兼ねる)の計60拠点に拡大。協会では引き続きこの動きを加速し、中間処理拠点を全国に展開していく計画です。

   

東京都西部地区に2つの拠点/青南建設(株)

 
  昭和48年12月に設立された青南建設(株)(志賀泰隆社長/東京都八王子市犬目町492−10/TEL. 0426−24−0221/URL=http://www.seinan-k.co.jp)は、東京都西部の青梅・八王子地区を拠点に土木業、産業廃棄物・一般廃棄物の収集運搬と中間処理などに取り組んできました。本年5月には塩ビ粉砕プラント(処理能力200トン/月)を青梅工場に設置。同工場と、八王子市にある片倉工場の2カ所を拠点に、使用済み塩ビ管・継手の前処理から粉砕処理までを行うのが青南建設の取り組みです。東京都では現在唯一の中間処理拠点としてその活躍が期待されます。
・志賀社長のコメント
 青南建設では、平成16年度から廃プラスチックのリサイクルを開始したが、塩ビ管については全量埋立処分になっていた。しかし、最終処分場の残量不足による処理費の高騰など埋立処分が事実上厳しくなってきているのに加えて、資源の有効活用という社会の要請が高まっている状況を考えれば、塩ビ管のリサイクルは必要不可欠だ。協会と力を合わせて、東京都内にリサイクルを行う中間処理場が無いために再生できる塩ビ管まで埋立処分されている現状に、何とか歯止めをかけたい。リサイクル率の向上は、お客様からの信頼度を上げ競争力を高めることにも繋がると思う。現在、青南建設では八王子市の片倉工場と青梅市の青梅工場の2工場で受け入れている。片倉工場で受け入れた再生可能な塩ビ管は、青梅工場に搬入しそこで粉砕して再生管の原料にする。

異物除去から洗浄まで/平木工業(株)

 
  平木工業(株)(平木實男社長/長崎県長崎市三京町2842−1/TEL. 095−850−5000/URL=http://www.hiraki-gp.co.jp)は、昭和49年に設立された産業廃棄物のリサイクル会社で、長崎市を拠点に、廃プラスチックのほか、金属、木くずなど幅広い素材のリサイクルに取り組んでいます。廃プラスチックについてはRPF加工やセメント原料化などにも取り組んでいますが、塩ビ管のリサイクルはこれが初めて。処理の内容は汚れ落とし〜異物除去までで粉砕処理は行いません。同社では、今回の事業に備えて切断〜洗浄〜乾燥までを行なう設備(75トン/月)を新たに導入。塩ビ管・継手のリサイクルに強い意欲を見せています。
・平木社長のコメント
 かつて日本ではすべてのものがリサイクルされていたが、高度経済成長は先人たちが築いたこの循環型社会を根幹から変化せしめた。現代の急速なリサイクル化の進展は、本来のあるべき姿へ戻ったにすぎないとも言えるが、埋立処分地の減少、さらには京都議定書におけるCO2削減計画や原油の高騰といった問題を考えても、残された選択はやはりリサイクルしか有り得ない。今回、協会のリサイクル事業への参加を決定したのも、そうした基本認識を踏まえてのことだ。今後は協会のパートナーとして情報交換しあいながら塩ビ管のリサイクル率を高めていきたい。また、その活動を通じて、役所やゼネコンからの信用度を上げ、競争力を高めていきたいと思う。