2005年9月 No.54
 

 東京都、塩ビ製品のグリーン購入制限事項を削除

  「グリーン購入ガイド」を改訂。かけがえのない素材・塩ビの断熱効果等を評価

 

    東京都のグリーン購入ガイドが改訂され、オフィス家具や家電製品などを都が購入する際に、塩ビを極力含まないよう「配慮することが望ましい」としてきた購入基準が削除されました。塩ビが代替困難な特長を備え、「断熱性などから温暖化対策の一環として利用性の高い素材」であることを評価したもので、塩ビ業界にとっては文字通り待望の決定といえます。  

 

「製品の素材表示」を条件に

  東京都の「グリーン購入ガイド」は、“都内最大の消費者・事業者”とされる東京都が、日常業務の中で使用する各種製品を購入する際、「環境に配慮した物品調達」を行うための基準をまとめたものです。
 ガイドでは、用紙、文具・事務用品から、什器(オフィス家具)、照明・家電製品、OA機器、自動車、その他に至るまで、さまざまな物品を購入する際に環境面から遵守すべき事項が、「最低限考慮すべき環境配慮事項(水準1)」と「要件ではないが配慮することが望ましい事項(水準2)」の二段階に分けて示されています。

都のグリーン推進方針とグリーン購入ガイド

 平成14年度に、それまでの「環境に配慮した物品調達ガイド(平成12年4月)」と「東京都の用品におけるグリーン購入推進指針(平成11年8月)」を統合、東京都のグリーン購入のあり方を示した
「東京都グリーン購入推進方針(平成15年4月)」が策定された。
 同方針は、東京都がグリーン購入を推進することにより、持続可能な社会の実現に寄与することを目指すもので、(1)日常業務活動から生じる環境負荷の低減、(2)環境配慮型製品の市場拡大、(3)製造者の環境負荷低減に向けた取り組み支援、(4)都民、事業者、他自治体による環境配慮型製品の購入喚起、などが主な狙い。「グリーン購入ガイド」は、この方針に基づいて、物品を購入する際の具体的な要件を品目ごとに示したもので、毎年発行される。


 このうち、什器(オフィス家具)、照明・家電製品類、OA機器類については、これまで、水準2の項目の一つとして、「塩化ビニルを極力含まないこと」との記述がなされてきており、このことが、塩ビ製品、あるいは塩ビ製部材を使用したこれらの製品を東京都に納入する上での大きな制約となっていました。
 こうした中、東京都が4月27日付で公表した「東京都グリーン購入ガイド(2005年版)」は、「製品の素材表示がなされていること」を条件に、前述の製品すべてについて「塩化ビニルを極力含まないこと」という記述を削除した内容となっており、これにより、塩ビ製品の使用を制限する基準はガイドの中から完全に姿を消すこととなりました。

 

温暖化対策に、高い利用性

 今回の改訂の理由として東京都は、「(塩ビは)その材質の特長から代替が困難であり、断熱性などから、温暖化対策の一環として利用性の高い素材でもある。また、マテリアルリサイクルの推進や家電製品の素材表示義務化により、製品全体としての素材表示の確認による環境負荷の評価が、今後はより重要であると考えられる」と説明しています。
 加工しやすく、燃えにくい塩ビは、幅広い分野で社会の役に立つ素材です。また、省資源・省エネルギー性にも優れ、塩ビサッシや塩ビサイディングなどの建築資材は、住宅分野において地球温暖化の防止に大きく役立つことが期待されています。
 東京都では既に平成16年度から、「公共工事におけるグリーン調達方針」の中で再生塩ビ管を特定調達品目として採用しており、今回の「グリーン購入ガイド」の改訂と併せて、建築材、日用品の両部門で、塩ビ製品利用が広がっていくものと予想されます。
 また、グリーン購入ガイド制定の動きは東京都だけでなく、全国の自治体で広く進められていますが、今回の東京都の決定を契機に、各自治体でそれぞれの「グリーン購入ガイド」の見直しが早急に進むことも考えられます。
 東京都「グリーン購入ガイド」の詳細については、
東京都環境局のホームページ(下記)をご参照ください。

http://www2.kankyo.metro.tokyo.jp/kikaku/green-guide/index.htm

 

東京都「公共工事におけるグリーン調達方針」

 正式名「東京都環境物品等調達方針(公共工事)」。東京都が国の「グリーン購入法」及び「東京都建設リサイクルガイドライン」に基づき、公共工事における環境物品等(資材、建設機械、工法、目的物など)の調達方針をまとめたもの。法律に準じて義務化される特定調達品目のほか、都独自に定めた特別品目(積極的な使用を推奨)、調達推進品目(現状では価格等の問題で実用できないが採用を検討)を盛り込んでいるのが大きな特徴で、特定調達品目の中の(配管材)として再生塩ビ管が採用されている。今後、都の公共工事(学校、庁舎の建築・改修工事など)に関して本格的な導入が進むものと見込まれる。