2005年6月 No.53
 
 

新和環境(株)の吉川リサイクルセンター

 

最新式のRPF製造プラント竣工で、建設混合廃棄物のリサイクルを加速

 

  トップニュースでも取り上げたとおり、建設混合廃棄物のリサイクルは循環型社会構築のための大きなテーマのひとつ。新和環境(株)(本社/東京都新宿区)は、その課題の解決へ向けて意欲的な活動を続けている産業廃棄物の中間処理業者です。同社の吉川リサイクルセンター(埼玉県吉川市)を訪ね、新たにスタートしたRPF(プラスチック固形燃料)製造事業の現状などを取材しました。

●焼却場跡地に新プラント建設

 
  新和環境(株)は、昭和49年に設立された新和土木(株)を前身とする産業廃棄物の収集運搬・中間処理業者ですが、平成元年に吉川リサイクルセンターを開設して以降、資源の有効利用を最優先に積極的なリサイクル事業を展開しています。
 平成5年、建設廃棄物の総合型機械選別ラインをセンター内に設置したのに続いて、同14年には、リサイクル率の向上という社会の要請に応えて焼却炉の操業を停止。今年2月、焼却場跡地にRPF製造プラントを中心とする新施設が竣工したのを機に、社名を現在の新和環境?に変更しています。
 同社では、吉川リサイクルセンターのほかに、千葉県市川市に行徳リサイクルセンターを運営していますが、現在のところ高度なリサイクル事業は吉川リサイクルセンターを拠点として進められています。
 

●RPFの主原料は「廃プラ+木くず」

 
  吉川リサイクルセンターの年間処理量は約67,000トン。その90%が建設系廃棄物で、新築現場で予め分別される一部の建材(塩ビ管など)を除けば、大半は高度な選別が必要な混合廃棄物の状態で搬入されます。これらは、ダンプアップヤードでの粗選別に始まり、手選別コンベア、各種機械選別装置などを結んだラインにより高精度で分別され、有価物または各種の再資源化原料としてそれぞれ専門のルートでリサイクルされていますが(別表参照)、それらのルートに乗せることのできない、これまでは焼却や埋立しか処分方法のなかった廃プラスチック類や木くず・紙くず類は、最新鋭のRPF製造プラントにおいて、原料として再資源化されることとなります。

 RPFは、石炭と同じ発熱量を有しながら価格が安く、硫黄分、窒素分などの環境規制物質が少ない、など多くの利点があるため、石炭・コークス類に代わる燃料として、製紙用ボイラーやセメント原燃料、バイオマス発電などでの利用が進んでいます。
 吉川リサイクルセンターのRPF製造プラントは、処理能力1日37トン。技術的には、破砕工程を「廃プラスチック類・紙くず・繊維くず系統」と「木くず系統」の2系統に分け、それぞれの物性に適した破砕処理を行っている点に独自の工夫が見られます。新和環境の近藤亮介副社長の説明。
 「一般にRPFは廃プラスチックに、紙を混ぜて作られるが、当社の製品は、さらに、木材チップなどにリサイクルできない木くず を混ぜるのが製品の特徴になっている。これは建設混合廃棄物のリサイクル率をできるだけ高めたいためだが、もうひとつ、木くずを混ぜることでカロリーを調整できるメリットもある。現在、当社のRPFの大半は製紙会社のボイラー燃料として利用されており、熱量も石炭やコークス並み(6,000〜8,000kcal)に調整しなければならない。プラスチックだけだと10,000kcalを超えてしまう」

 

●塩ビ壁紙のRPFも製造

 
  処理フローは図のとおり。手選別ラインで分別された廃プラスチック類や木くずは、それぞれの破砕工程に送られ、一次破砕、二次破砕を経て細かく粉砕されます。次にそれぞれの原料を混合装置で適切な比率に配合した後、成形機で石炭状の固形燃料に圧縮成形します。プラスチックと木くずの配合比はほぼ6対4。塩素分は3,000ppm以下(0.3%以下)となっています。
 なお、新和環境では、日本壁装協会(壁紙メーカーの団体)の委託を受けて、塩ビ壁紙のリサイクルにも取り組んでおり、通常の操業とは別に、使用済み塩ビ壁紙だけを原料とするRPFを製造して、福岡県北九州市の光和精鉱?(同和鉱業のグループ会社)に、セメント原料製造時の補助燃料として供給しています。近藤副社長の話では、「塩ビ壁紙は炭酸カルシウムを多く含んでいるので、固まりやすく、カロリーもちょうどいい」とのことです。
 「RPFは建設廃棄物のリサイクル手法としてますます重要になってくる。また、製紙会社での利用が急速に進んでいるため、我々、供給側の生産能力が著しく不足している。今後RPFの需要は、さらに広がっていくと思う」と、近藤副社長は予想しています。