本誌前号では、都営アパートや公団住宅などの公的施設でリサイクル塩ビ管採用の動きが広がっていることをレポートしましたが、今回ご紹介する愛知万博の取り組みも、こうした流れの中で実現した事例のひとつといえます。
地球規模の環境問題を正面に据えた愛知万博では、博覧会運営に関して、自然環境に配慮した会場計画、循環型社会のための先進技術の導入、3Rの積極導入、など7項目を柱とする「環境方針」が定められており、3R導入に際しては、「(会場整備において)環境にやさしい素材の利用率を高めるための各種施策(リサイクル材の利用促進等)を進める」ことなどが、「環境目標」として掲げられています。
愛知万博の「環境方針」
- 環境影響評価書に示した保全措置の実施。
- 自然環境に配慮した会場計画の策定。
- 循環型社会のための先進的な技術の導入。
- 3R(リデュース、リユース、リサイクル)の積極的導入。
- 環境負荷の少ない交通手段の利用促進。
- 展示や催事を通じて楽しみながら学ぶ機会の提供。
- 関係者の環境配慮に関する取り組み促進。
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「このため、会場建設についても、使用済み資材は可能な限りリサイクル・再使用するといった3R徹底、先進的な技術を生かしたリサイクル建設資材の使用などが求められた。配管材として積極的にリサイクル製品を使っていくことにしたのは、そうした基本的な枠組みに沿ったものだが、特にリサイクル塩ビ管は、パイプからパイプという本来の意味でのリサイクル製品であることが大きな評価ポイントになっている。品質面でも新品と全く変わらないし、閉会後はできるだけどこか他の場所でリユースしたいと考えているが、具体的な計画はまだ不明だ」と、リサイクル塩ビ管採用の背景を説明するのは、(財)2005年日本国際博覧会事務協会の町田誠施設管理室長(会場整備グループ長兼会場演出調整担当)。
建設資材としては、塩ビ管のほかに、コンクリート砕石、木材チップや廃タイヤチップの舗装材などのリサイクル製品が採用されていますが、「プラスチックでは何といっても塩ビ管がメイン」とのことです。
リサイクル塩ビ管は、各パビリオンなどの建物をつなぐ取付管として使用されています。これは、下水道用取付管や屋外排水設備などのために開発されたリサイクル三層管(RS−VU)で、相当の量が使われています。
ちなみに、総面積158haという広大な長久手会場を一周する排水管には、バージンの塩ビ管が使われています。これについても最終的にはリサイクル、リユースに回すことが検討されています。
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