●中間処理業者など39社で組織
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関東建設廃棄物協同組合(以下、関東建廃協)は、建設廃棄物の処理(収集・運搬、中間処理・処分、建物解体工事)に携わる企業39社で構成する業界団体です。設立は昭和51年2月。建設廃棄物の大半が埋立あるいは焼却処理され、不法投棄や不適正処理が横行していた当時、「適正料金による適正処理推進」を目的に処理業者が団結したことは、産廃処理問題への社会的な関心を高める上で大きな転機になったといえます。
設立当初の名称は京浜建設廃材処理業協同組合といい、京浜地区を主体に活動を展開していましたが、以後、順次関東全域へと事業を広げ、?全国産業廃棄物連合会や?建築業協会、廃棄物学会など関係各団体とも連携しながら、30年にわたって積極的な活動を展開してきました。平成11年には建設大臣の認可を受けており、現在は国土交通省と環境省の共管団体となっています。
事業の内容はリサイクルの推進、調査・研究、教育・研修など多岐にわたりますが、ここではリサイクルに関する取り組みを中心に最近の動きを見ていきます。 |
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●リサイクル推進事業―建設系混合廃プラの再資源化
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産業廃棄物の発生量は全国で年間約4億トン。うち建設廃棄物は約20%を占め、減量化とリサイクルのための新たな技術開発は業界にとって最大のテーマです。
平成14年度から、塩ビ工業・環境協会(VEC)と共同で進めている建設系混合廃プラスチックリサイクルに向けた取り組みもそのひとつで、同年12月に、塩ビ建材の排出実態を把握するため住友金属テクノロジー(株)鹿島事業所において廃プラスチック混合廃棄物の組成分析を行なったほか、平成16年度には、第2段の取り組みとして、同和鉱業(株)のグループ会社の小坂製錬(株)(秋田県)において流動床炉によるサーマルリサイクルの実証試験を実施。新築系混合廃プラスチック類50トン、解体・改修系混合廃プラスチック類50トンの計100トンをサンプルに、経済性を含めた総合的なデータの採取と分析が行われました。 |
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●共同購買事業―リサイクルルートの確保
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共同購買事業は、組合員が日常業務で利用する物品を集中購買し安価で組合員に提供するものですが、リサイクルおよび処理ルートの共同開発もこの事業の大きな柱となっています。
この取り組みは、全国に点在する多様なリサイクル施設の中から、組合員が共同で利用できる質の高いルートを厳選、確保することにより、中間処理した後の建設廃棄物を安定的に処理していこうというもので、特にリサイクルルートの開発については、これまでに廃プラスチック類のセメント原燃料化や廃棄物発電の原料化などのサーマルリサイクルルートを確立したほか、リサイクルできない廃プラスチック類のための安定型処分場も併せて確保しています。 |
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●調査・研究事業―日本初「建設系廃棄物の組成分析調査」
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関東建廃協が行う調査・研究事業の中で、最も注目されるのは、我が国初の試みとして昭和62年から定期的に継続されている「建設系廃棄物の組成分析調査」(建築業協会・全国産業廃棄物連合会からの受託事業)。以後、平成2年、6年、10年、13年と計5回にわたって、新築工事から発生する混合廃棄物を対象に組成等の分析が行われており、その調査結果は廃棄物の適正処理とリサイクルを進めるための基礎データとして各分野で幅広く活用されています。
また、平成15年には解体工事から排出される混合廃棄物についても排出状況と組成の調査が実施されました。17年度中に第2回目の調査も予定されており、協会では前回不十分だった点を精査するなど、より説得力のあるデータを集めることで、新築系に比べて難しいとされる解体系廃棄物リサイクルの方向を確定していく計画。
なお、平成15年の調査から、塩ビ建材については、塩ビ管、雨どい、タイルカーペット、壁紙などが主な廃棄物であることが確認されており、特に塩ビ管は、塩化ビニル管・継手協会によるリサイクルシステムが完成していることなどから、最もリサイクルしやすいプラスチック建材と評価されています。
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●その他の事業―研修会、講演会の開催など
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関東建廃協では、以上のほかにも、法律改正や行政の施策動向に対応した定期研修会の開催、処理技術情報の収集や伝達などを目的とした地区別ブロック会議、業種別専門部会の開催、昭和62年から毎年実施している「講演と懇親の集い」など、幅広い活動を展開しています。詳しくは同協会のホームページで(http://www.kenpaikyo.or.jp)。 |
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