2005年3月 No.52
「塩ビへのポジティブな評価」が世界的な傾向に
世界塩ビ会議(GVC2004)、バーゼル条約締約国会議に見る「塩ビ復権」の動き
世界の潮流は、ひと頃のアンチ塩ビから塩ビ積極使用の方向へ―。世界塩ビ会議(GVC2004)、バーゼル条約締約国会議など、国際的な議論の場で「塩ビ復権」を示す動きが続いています。CO2削減へ向けて各国の取り組みが本格化する中、塩ビの環境性に改めて注目。
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後退する欧米自動車業界の非塩ビ動向(GVC2004)
世界塩ビ会議は、日米欧を中心とする塩ビ関係者が一堂に会し、塩ビと環境問題などを話し合う場として毎年開かれているもので、今回は11月4日〜5日まで、日米欧、韓国、カナダ、シンガポールなど計12カ国の代表約70名が参加して、韓国のソウルで 開催されました。
今回の会議で特徴的だったのは、ひところの塩ビバッシングの動きが後退し、「環境影響の面から見ても塩ビは安心して使える」というポジティブな認識が世界的な傾向になりつつあることが、各国の報告から窺われたことです。日本から参加した塩ビ工業・環境協会(VEC)の関係者は、「自動車業界を中心に、欧米の主要塩ビユーザー産業では一時の塩ビ離れが陰を潜め、塩ビが最適な部分には迷わず塩ビを使用するという流れが主流になりつつある。日本でもこうした動きを早急に定着させなければならないと感じた」と感想を語っています。
また、VECの市村浩信SSプロジェクトリーダーが、日本における樹脂サッシ・樹脂サイディングの普及活動について行った講演も、CO2削減、地球温暖化防止などへの貢献という点で、塩ビ製品が持つ高い可能性を明示する報告として参加者の注目を集めました(次回のGVC2005は10月中旬、アメリカのサンフランシスコで開催予定)。
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科学に基く冷静な判断へ(バーゼル条約締約国会議)
一方、去年10月にスイスのジュネーブで開かれたバーゼル条約(有害廃棄物の越境移動及びその処分の規制に関する条約)の締約国会議でも、塩ビ製品そのものを有害物とするような取り扱いが大きく転換したことを印象づける動きが見られました。
会議では、インドの提案に基づき、これまで取扱方針が未定になっていた塩ビ電線について、基本的には「PCB、タールなどの有害物で汚染されたものでないかぎり無害」との合意がなされていますが、EU、特にドイツがこの決定を強く支持したことは、ヨーロッパを中心にした感情的な非塩ビ論が、科学に基づいた冷静な判断へと変化しつつあることを示す動きといえます。