昨年の戸建住宅調査の結果とも比較しながら、調査結果の概要をご紹介します。
(1)共同住宅のプラスチック建材使用量
原単位(床面積平方メートル当たりの使用重量kg)の合計は1.88kg/平方メートルでした(表1)。戸建住宅(2.56kg/平方メートル)の使用量に比べて小さくなっていますが、これは屋根・外壁などに使われるプラスチックが戸建住宅に比べて著しく少ないためで、他の部分については両者とも大きな違いは見られません。
調査前には、新しい住宅ほどプラスチック建材の使用量も多くなると予測されましたが、建築年の古い共同住宅では補修・改装が行われていることが多く、建築年との明らかな相関は認められませんでした。
(2)将来の排出量の予測
上記の原単位調査結果と、国土交通省の「建設廃棄物排出量の将来予測」における滅失床面積(解体、災害などで消失する建物の床面積)などを基に、プラスチック建材の排出予測を試算すると、現状の7万トン程度から、2020年頃には10万トン(うち共同住宅で約2万トン)を超えるものと見込まれます(図1)。しかし、その伸び方は当初予想されたほど大きくはなく、住宅用プラスチック建材の排出量は現時点でほぼ一定レベルに近づいているとみられます。
品目別ではビニル壁紙、配管材の増加が大きくなっています(図2)。
(3)再資源化へ向けての課題
解体で排出される住宅用プラスチック建材の中で、現在処理・再資源化ルートがほぼ確立されているのは、電線、塩化ビニル管・継手および押出発泡ポリスチレン(断熱材)などで、排出量全体に占める割合は約1/3(表2のグループA)。
また再資源化の試行段階にあるのは、ビニル壁紙、雨樋、床材などで、これもほぼ1/3となっています(同グループB)。それ以外はいわゆる建設混合廃棄物で、素材と複合化したり分別が困難だったりして、マテリアルリサイクルには多大な困難を伴うため、大半は埋立処分されているのが現状です。
以上から判断すると、今後排出の増加が予想されるビニル壁紙などの再資源化ルートの確立と同時に、エネルギー回収を含めた建設混合廃棄物の適正処理が大きな課題になると考えられます。
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