JPEC講演会レポート/都市ごみの焼却処理について
慶大・川口修教授が講演。 廃棄物発電の可能性、廃プラリサイクルのあり方など
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JPEC主催の講演会が6月14日、東京都港区の虎ノ門パストラルで開催され、燃焼学の第一人者で慶應義塾大学教授の川口修先生が「都市ごみの焼却処理について〜プラスチック焼却の位置づけ」と題して講演を行いました。 |
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■ 廃棄物発電が「最もリーズナブル」
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今回の講演会は、「焼却による熱エネルギー回収」というリサイクル手法に対して内外での見直しが進む中、改めてその可能性と廃プラスチックのリサイクルのあり方を考えてみようというのがテーマ。
川口教授はまず、「一般廃棄物の排出量は年間およそ5,200万トンで、その78%が直接焼却されている。これだけの割合を占める焼却処理からいかに理に適った方法でエネルギーを回収するかが重要であり、そのいちばんリーズナブルな方法が廃棄物発電だと言える」と指摘。その上で、日本における廃棄物発電の現状について、「全国の焼却施設1,680施設(平成13年度)のうち発電設備を有するのは236施設、総発電能力も約125万kWとかなり増えてきているが、地球温暖化ガスの排出削減の観点から2010年度までに417万kWの発電能力を実現するという政府の計画に比べると、先はまだ長い」との認識を示しました。
さらに、廃棄物発電の課題として、現状で平均10.4%(平成13年度)にとどまっている発電効率の向上、廃棄物の組成の違いで変動しやすい電力そのものの質の向上などを挙げ、発電効率の向上についてはボイラ管の材質改善が有効と説明、「発電効率が低位にとどまっているのは、排気中に含まれる金属腐食物質がある温度域でボイラ管を腐食させてしまうために蒸気温度を高く設定できないことが原因。ボイラ管の材質を耐腐食性にして蒸気温度を上げることができれば発電能力を大幅に上げることが可能であり、現在この方面の研究が進んでいる」と今後への期待を示しました。 |
■ “焼却は悪”の考え方を見直せ
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一方、廃プラスチックのリサイクルのあり方について教授は、「現在廃プラスチック処理の内訳は、再生利用14%、発電・熱回収32%、単純焼却21%、埋め立て33%。未利用廃プラスチックは全体の54%を占めるが、どのようなリサイクルが低コストで、本当の意味で天然資源の節減になるのかを十分に考えて手法を選択する必要がある」とした上で、「その原料が原油であり普通の燃料と変わらない熱量を有していることを考えると、熱回収こそ重要だ」と述べました。
また、廃プラスチックの焼却に批判的な一部の世論については、「プラスチックの焼却処理は良くないとする議論は一般的に受け入れられやすいが、プラスチック製品の原料としての再利用(マテリアルリサイクル)が本当にエネルギー資源、天然資源の節減になっていると言えるのか。その発熱量の高さを考えれば、焼却して熱利用するほうがエネルギー資源の節減になり、新たなエネルギーを加えてプラスチックに再生するほうが資源の無駄遣いになる場合もあることを理解しなければならない。“何が何でもリサイクル”、“焼却処理は悪”とする単純な考え方は見直されるべきだ」と反論。最後に「廃棄物は人間が生活するうえでは多かれ少なかれ必ず排出されるもので、焼却処理を含めてこれをどう処理するかが人間の知恵。いかにリサイクルコストをかけずに資源の節減を図るかという観点から廃棄物処理を考えるべきだ」と述べて講演を締めくくりました。 |
[プロフィール]川口修 (かわぐち おさむ)
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昭和16年生。慶應義塾大学工学研究科卒。工学博士。日本ガスタービン学会副会長。昭和56慶應義塾大学理工学部助教授、昭和56年〜57年米国ペンシルバニア州立大学客員助教授、昭和61年慶應義塾大学理工学部教授。燃焼機器からの大気汚染成分の排出について関心を持ち、燃焼器の作動条件と燃焼状態、排気特性との関連を研究。また、廃プラスチックのエネルギーリサイクルを目的としプラスチックの熱分解、燃焼についても研究を行っている。平成14年日本燃焼学会論文賞受賞。 |
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