大洋電工の再生処理プラントで技術的なポイントとなっているのは、同社が開発した世界初の「水流式超音波洗浄機」です。
船舶の測深器や魚群探知機に使われる超音波の技術を洗浄に応用したこの装置は、船舶電装で培った同社の技術力の成果であり、水流の中で超音波洗浄を行う技術は現在でも世界で唯一のもの。既に日本国内だけでなく、アメリカや韓国でも特許を取得しています。この装置の開発により、破砕から再生加工までの一連の工程を連続的に処理することが可能になったと言えます。
以下、主な工程に沿って再生処理の流れを見てみます。
(1)前処理破砕工程
まず金属探知器で使用済み農ビから異物をていねいに取り除き、1m程度の大きさにカットします。
(2)粗洗浄粉砕工程
勢いよく回転する水の中でドロ落としのための一次洗浄を行った後、破砕機で3〜5?の大きさに破砕します(フラフ)。破砕機には常に水が供給されていますが、これは水の中で破砕することで機械の摩耗を防ぐためです。
(3)超音波洗浄工程
水切供給機で濁り水と分離されたフラフは、超音波洗浄機に送られ、バージン原料と比べても遜色ないまでに完全に汚れを洗い落とします(2次洗浄)。
農ビに限らず、マテリアルリサイクルでは「きれいにすること」が基本ですが、超音波洗浄機では「タワシでこすっても取れない汚れまで完全に落とす」ことができるため、再生品では難しいとされるアイボリーなど、どんな色にでも加工することができます。
(4)脱水・乾燥工程
洗浄したフラフを脱水装置で0.5%程度まで脱水した後、回転気流式の乾燥機に投入します。水分を完全に取り除くことも大切なポイントです。
(5)粉砕選別回収工程
乾燥したフラフは、異物分離装置で再度金属などを除去した後、高速攪拌機により粉状化され、グラッシュとよばれる再生品に生まれ変わります。
(6)ペレット製造工程
最後に、グラッシュに薬品や顔料を加えたコンパウンドでペレットを作ります。溶融押し出し機から細長いひも状になって出てくる原料は、冷却され、直径数mmの粒状に加工されます。
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