以下に、調査結果の要点を整理します。
(1)廃プラスチックの排出量と種類
建築廃棄物全体の排出量は延床面積1平方メートル当たり平均500kg余り。うち、廃プラスチック類は平均2.6kg程度で、廃棄物全体に占める重量割合は平均0.5%となっています(表1)。
廃プラスチックの種類の内訳は図1のとおりです。今回の調査では計17種類のプラスチックが分類されましたが、最も量が多かったのは塩ビで、硬質、軟質を合わせると全体の76%に達します。
(2)用途別の廃プラスチック割合
廃プラスチックの排出割合を用途別に見ると、屋根・外壁材(23%)、配管材(22%)、内壁・天井材(15%)、保温・断熱材(11%)、電気配線(10%)の順になっています(図2)。
これらの用途のなかで、どの解体物件からでも比較的まとまった量の廃プラスチックの排出が見られたのは、屋根・外壁材、配管材、電気配線、窓材で、これらは住宅仕様としてプラスチック製の建材・部材の使用が標準化されている用途とみられます。
一方、解体物件によって廃プラスチック量にばらつきが見られる用途は、床材・畳床、内壁・天井材、保温・断熱材で、プラスチック化の過渡期にあるとみられる用途や、住宅仕様としていくつかの選択肢がある用途となっています。
(3)部材・部品別の廃プラスチック排出量
建材・部材別に廃プラスチックの排出量(延床面積1平方メートル当り)とその割合を調べた結果では、下水管(18%)、壁紙(13%)、雨樋(10%)、発泡成形体(9%)、電線(8%)など、上位10位までで全体の75%を占め、その殆どに塩ビが利用されています(表2)。
(4)解体系廃プラスチックのマテリアルリサイクルについて
報告書では、最後に解体系廃プラスチック建材の再資源化の方向について考察し、「雨樋、電線、防水シート、上下水道など異物等の付着が少なく樹脂単体で回収できる部材・部品はマテリアルリサイクル(MR)の可能性はあるが、壁紙、床シートなど接着または複合化され基材から容易に分離できないもの、あるいは少量で樹脂の種類も多様なその他の部材・部品のMRは事実上困難」とした上で、「解体現場からでてくる廃プラスチックの大半が減容化され、最終処分されている実態を鑑みれば、まずは適正な処理さらには最終処分量の減少へと進めることが肝要であり、そのためには、解体現場での分別、中間処理による分離、分別、破砕・減容化など、また廃プラスチックの回収・運搬方法なども当面の課題と考えられる。そのうえで、フィードストックリサイクルやサーマルリサイクルを含めたリサイクル方法・技術の開発が必要と考える」と指摘しています。
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