一方、分野別のプラスチック消費割合は、包装用24.6%、家庭日用品15.2%、電気・電子機器用品と農業用品がそれぞれ9.3%、建築用8.8%など(表2)となっていますが、このうち建築用プラスチックは、1994年に設置された「国家化学建設資材調整指導部会」が建設資材関係の開発に関する計画と政策などを公布して以降、数年という短い期間で急拡大。鉄鋼、セメント、木材に次ぐ第4の主要建設資材として、2010年にはプラスチック製品総生産量の16%、およそ400万トンに達するものと予想されています。 中でも、1960年代に生産が始まった塩ビ管は、応用分野の広さから急速な成長を見せており、その生産量は、1994年の15万トンから、2000年には100万トンを突破。新築マンションの屋内排水システムの50%、都市給水システムの30%が塩ビ管を採用したといわれ、さらにこの数値は2010年にはそれぞれ80%、50%になるという見通しも出ています。
これに伴って、塩ビ管製造業者の生産能力も増大しており、既に年間1万トン以上の能力を有するメーカーが誕生しているほか、近い将来、8万トン、10万トンを超える生産能力を持った大規模メーカーが設立されるだろうと考えられています。
さらに河北、甘粛、遼寧、山東、江蘇、四川の各省では、超大口径の塩ビ管を開発するために新鋭装置の導入も進んでいるとのことです。
● 環境保全に貢献する塩ビ
中国における塩ビ管および塩ビ建材の急速な成長の背景には、深刻な環境問題が横たわっています。
「膨大な人口を抱え、森林資源・水資源の枯渇とそれに伴う砂漠化の拡大、住宅不足といった問題が懸念される中国では、塩ビ建材が問題解決の上で大きな力を持つ。塩ビに対する評価は国によって違うかもしれないが、少なくとも中国では、森林の伐採を防ぎ、資源を節約できる環境にやさしい素材との見方で一貫しており、報告書を見る限り、日本のような塩ビ忌避論は全く出ていない」(福岡専務)
福岡専務に今回の情報を提供した 副事務局長も、
「今後、中国社会の進歩と人々の生活水準の向上で、間違いなく家屋の状況は改善されていくだろうが、省エネルギー、耐久性、保温性、耐燃焼性の点からいって塩ビ建材は最良の木材の代替品である。また、塩ビ建材は従来の鉄鋼、木材に置き換わるというだけでなく、エネルギーと森林を守り、環境の保全、生活環境の改善、建設の機能と質の改善、建設資材の重量削減、建設作業の軽減などに貢献している」と指摘した上で、「中国における塩ビ管市場は巨大であり、無限のビジネスチャンスが見通せる」と述べています。
こうした中、当初は数種類に過ぎなかった塩ビ管の種類も、工業、農業、建設、医療、環境保護などの要求を満たすために現在では10種類以上にまで増えてきており、中国プラスチック協会は、中国の塩ビ管の生産、用途をより拡大する目的で、塩ビ管メーカーの総合的な調査を今年の早い時期に行う計画です。
以上のように、塩ビ管産業は、中国におけるプラスチック加工産業の大躍進を支える牽引車の役割を果たしているとも言えます。中国がアジアにおける新しい塩ビ管製造の最大拠点となるのか、さらには、それが日本の塩ビ業界にどのような影響を与えるのか、しばらくは中国の動きから目が離せない状況が続きそうです。