2003年6月 No.45
 
高俊興業(株)市川エコ・プラントの最新情報

建設混合廃棄物の平均リサイクル率91%。徹底分別で塩ビ建材も有効利用

 高俊興業(株)(高橋俊美社長/東京都中野区)の市川エコ・プラント(千葉県市川市本行徳1325−62/TEL.047−395−1878)は、平均リサイクル率91%を誇る建設混合廃棄物の中間処理工場。廃プラスチック建材リサイクルの取り組みを中心に、その最新情報を取材しました。

 

■ EKO=環境/保全/活動

 
 市川エコ(EKO)・プラントは、建設混合廃棄物を中心としたリサイクル処理施設として平成10年に建設されました。
 もともと高俊興業は産業廃棄物の収集運搬・保管を主な業務としていましたが、リサイクル社会における中間処理業務の重要性の高まりからエコ・プラントの建設に着手。それまでリサイクル困難とされてきた建設混合廃棄物の再資源化に取り組むこととなりました。
 プラントの設計施工は?栗本鐵工所。ローマ字表記の「EKO」は、Environment(環境)、Keeping(保全)、Operation(活動)の頭文字を取ったもので、平成11年には、ISO14001の認証を取得しています。
 

■ 廃プラ類のリサイクル率は43%

 
 市川エコ・プラントで処理される建設混合廃棄物の量は、木くず、紙くず、廃プラスチック、金属くず、繊維くず、がれき類、石膏ボードなど、年間およそ23万4,000トン。
 全体のリサイクル率は重量ベースで91%(平成14年度実績)に達します。単純焼却は3%、埋立処分も6%程度に過ぎず、リサイクル率の高さは全国でも有数のレベルと言えます。
 市川エコ・プラントのリサイクルの基本は、「とにかくまず分けること」。高度な機械選別ラインと細かい手選別工程を組み合わせて分別精度の極限を追求する姿勢が、その高度なリサイクルを支える最大の要因と言えます。
 「もちろん、最初からそんなに高い数字だったわけではない。当初は50%程度だったのを、栗本鐵工所と協力して設備や運転方法を改良したり、仕分け作業を改良したりして工夫を重ねてきた結果、徐々にリサイクル率が上がってきた。最近では東京都をはじめとする全国の自治体や国土交通省などからも多くの見学者が訪れている」(笠原保専務)。
 品目別のリサイクル率は、木くず94%、がれき類など95%、紙くず60%、石膏ボードや金属くず、繊維くずはほぼ100%となっていますが、廃プラスチック類だけは43%とまだ半分以下にとどまっています。これは、廃材に付着した汚れが主な原因で、工場端材など汚れの少ないプラスチックのリサイクルと異なる建設混合廃棄物に特有の難しさと言えます。
 

■ 塩ビ管、床材はマテリアルリサイクル

 
 廃プラスチック類のうち、塩ビ製品にはパイプ類、タイルカーペット、雨どい、波板など多様な種類が含まれ、建設混合廃棄物の中では、軟質系を中心に塩ビが最も多い廃プラスチックとなっています。
 これらの塩ビ建材は、解体・新築現場でおおまかに分別された後、エコ・プラントでさらに細かく仕分けされ、パイプ類はリサイクル会社の第二化学(株)、(株)照和樹脂、大洋化学工業(株)に出荷されて再生パイプに生まれ変わります。この3社は、塩化ビニル管・継手協会が取り組む塩ビ管・継手リサイクル事業の協力会社です。タイルカーペットは、本誌No.42でもご紹介した葛飾区の(株)御美商で種々の再生原料としてリサイクルされます。また、雨どいや波板、パイプ類の中でも汚れのひどいものなどは埋立処分されるほか、壁紙は焼却処分。電線はまとめてナゲット業者に販売されるため、塩ビ被覆材のリサイクルは直接は行われていません。
 一方、塩ビ以外の廃プラスチック類は、減容圧縮施設(日量36トン)で処理された後、セメントの原燃料、高炉原料、RPF(固形燃料)やガス化発電の原料などとしてそれぞれの施設に出荷されますが、発泡スチロールのみは溶融固化施設(日量1.2トン)で処理して別途リサイクルされています。

 

■ 廃プラリサイクル向上の課題

 
 廃プラスチック類のリサイクル率向上に向けた課題として、笠原専務は「リサイクル施設の受け入れ基準の緩和」を指摘しています。
 「できるだけきれいな塩ビ管だとか、塩ビの混入しないものといった厳しすぎる受け入れ基準が廃プラスチック類のリサイクルのネックになっている。多少の汚れや塩ビの混入も認めてくれるような受け入れ側の対応がリサイクル率を上げることにつながる」
 建設廃棄物に特有の粉塵対策として常時10台のバグフィルターを稼働させて集塵を徹底したり、不法投棄、不適正処理などを懸念する発注者の安心を確保するため、通信衛星システムを利用してすべての収集運搬車の軌跡を管理、記録するなど、市川エコ・プラントでは、リスク管理の面にも細心の注意が払われています。
 また、高俊興業は東京都のスーパーエコタウン事業に参加して、今年6月から大田区城南島に市川エコ・プラントを上回る30万トン規模の処理施設建設に着工する予定で(稼働は来年秋)、廃プラスチック建材リサイクルの強力な拠点として、その動きは大きな注目を集めるものと予想されます。