■塩ビ建材100%リサイクルの重要な受け皿
東京都住宅局地域住宅部技術開発課長 平川 公三郎氏(談)
東京都が都営新宿六丁目団地で行っている都営住宅リサイクルプロジェクトは、今後の住宅建設リサイクルのあり方、さらには住宅分野全般における本格的なリサイクルに向けて検討を行うものです。この中で、塩ビ建材についてもリサイクルシステム構築に向けた検討を進めており、塩ビ管・継手などについては発生量全体の約70〜80%をマテリアルリサイクルしていますが、汚れのひどい塩ビ管・継手や、管・継手以外の塩ビ類については、現在のところマテリアルリサイクルが困難な状況にあり、100%リサイクルを達成する上では、フィードストックリサイクル(ガス化溶融)が重要な受け皿となります。
塩ビのフィードストックリサイクルについては、塩ビ工業・環境協会と住友金属によるこれまでの研究によって既に技術的には確立されていますが、事業化のためには更に具体的な実証研究データの収集が必要となっています。我々としても、マテリアルリサイクルが難しい塩ビのリサイクル率を上げたいということで、都営新宿六丁目団地から発生した実際の使用済み塩ビ建材を用いて両者で実証実験を行うことになりました。
都では、今年度中に発注する北区の桐ケ丘アパートの解体も含めて、来年度以降の住宅解体工事においては基本的に分別解体を実施する方針です。このため、今回の実験結果は、モデルプロジェクトを踏まえた『住宅建設リサイクルマニュアル』にも反映した上で、これらの解体で生じる使用済み塩ビ建材のリサイクルにもその成果を大いに活用していきたいと考えています。
リサイクルの優先順位から言えば、コストの安いマテリアルリサイクルが原則であることに変わりはないが、マテリアルリサイクルだけでは塩ビのリサイクルに限界があることは冒頭申し上げたとおりです。100%のリサイクルを実現するためには塩ビ工業・環境協会と住友金属の協力に期待するところは大きいし、我々としては今後もリサイクルに役立つ新たな技術開発には積極的に関わっていきたいと考えています。
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