一方、バグフィルターで除去された残渣ナトリウム化学品などはそれに添加物を加えて溶解し、フィルターで濾過して重金属や活性炭、飛灰などの不溶性物質を分離すると、処理前の塩水と濾過残渣が得られます。
さらに活性炭層で塩水から有機成分を除去した後、イオン交換塔を通過させて最後まで残っていた微量の重金属を除去して、完全に精製された塩水を回収します。この塩水は理論的には食品にも使える高純度のもので、ソルベイ社のソーダ灰製造プロセスに戻されて再利用されます。
最終的な残渣は埋め立て処分されますが、その量は都市ごみ1トン当たりわずか2〜4kgと、最終処分場への廃棄量が大幅に低減できる点も、ニュートレック・プロセスの大きな魅力となっています。
● 循環型社会の完成にまた一歩
ニュートレック・プロセスは、現在ソルベイ社の子会社、SOLVAL社(イタリア・ロシニャーノ)によって商業的に運営されており、塩化水素のリサイクルも行われています。
また、日本では反応剤の販売について、焼却炉メーカーの(株)タクマがソルベイ社と独占契約を結び、「ビカール(BICAR)」の商品名で同子会社のタクマ汎用機械(株)が販売を行っており、既に産廃処理の分野などで使用されるケースも出てきています。塩化水素のリサイクルは日本ではまだ実施されていませんが、この技術が日本に導入されれば循環型社会の完成にまた一歩近づくこととなります。