2002年6月 No.41
 
「シックハウスを考える会」の活動に反響大(建築・建材展2002)

「あくまでも医学的、科学的な研究結果に基づくシックハウス対策を」(上原理事長)

 

 東京都有明の東京国際展示場で開催された建築資材の総合展示会「建築・建材展2002」(主催=日本経済新聞社/3月5日〜8日)にNPO(特定非営利活動法人)の「シックハウスを考える会」(上原裕之理事長)が出展。建設関係者などから大きな反響を集めました。

 

■ マスコミ、一般市民も高い関心

 
 建材から出る有害物質が健康を損なうシックハウス症候群が、近年大きな社会問題となっています。「シックハウスを考える会」は、自らシックハウスに苦しんだ体験を持つ歯科医師の上原理事長が1994年に設立したNPOで(NPO認可は2000年)、これまで医師、科学者、建築士による日本初の疫学調査を実施しているほか、講演会や勉強会の開催、情報の収集など問題解決へ向けた旺盛な啓蒙活動を続けています、又シックハウスにかかっている方の悩みの相談にも応じています。「シックハウス症候群」という命名も上原理事長自身によるもの。
 今回の出展は、同会の活動内容やこれまでの調査研究データなどの紹介と会員募集を兼ねたもので、来場者の応対に当たった佐々木俊明事務局長の話では、「工務店や建材業界の関係者を中心に連日予想以上の反響があった」とのこと。初日(5日)に開催した「シックハウスシンポジウム in TOKYO U」も満員の盛況で、シックハウス問題に対するマスコミ、一般市民の関心の高さを印象づけました。
 

■ 「印象に基づく思い込み」の危険性

 
 最近、シックハウスの原因物質として塩ビ壁紙に使われている可塑剤の影響を指摘する専門家の意見も聞かれますが、この点について上原理事長は、「シックハウスの主たる原因は合板やボード由来のホルムアルデヒド」であるとして、客観的な調査を伴わない「印象に基づく思い込み」の危険性に警鐘を鳴らしています。
 「シックハウスの病態はわれわれが実施した疫学調査などによって始めて明らかになったもので、その結果、世にシックハウス研究の権威と目されている方々の発言が事実と異なるということも判ってきた。シックハウスは、塩ビ壁紙由来の可塑剤よりも合板やボード由来のホルムアルデヒドが主たる原因です。シックハウスに関して有識者と目される方は、その発言の重大さを認識し、あくまでも主観を排し、自ら確認した事実に基づいて発言すべきだと思う。思い込みは恐ろしいし、行政もマスコミも、思い込みや科学的根拠に基づかない主観的な意見や考えを取り上げる時には、よほど慎重にする必要があると痛感する。あくまでも医学的、科学的な研究結果に基づくシックハウス対策が求められる」
 なお、同会では今年度も、「患者の住居をリフォームすることによりシックハウス症候群の病態を改善する」ための研究を医学的・科学的見地より実施する計画で、建材・素材に詳しい方々の協力を求められています。詳しくは「シックハウスを考える会」まで。
 
ホームページ=http://www.sickhouse-sa.com
Eーmail:peach@sickhouseーsa.com