「産業技術史資料の評価・保存・公開に関する調査研究」というのが、その調査のタイトル。国立科学博物館が平成9年度に組織した産業技術史調査会によって、5ヵ年計画で進められてきたもので、塩ビのほかVTR、コンピュータを対象に、技術史的資料(製造設備や製品)の所在調査と技術発展の系統化調査が実施されました。
「国立科学博物館がこの調査に取り組んだのは、明治以降、日本が産業立国を国是として発展してきた証となる物品が数多く失われていることに危機感を覚えたため。また、数ある化学製品の中で特に塩ビが選ばれた理由は、第1には、現在の化学産業の中心である石油化学工業を代表するものの一つであること、2番目には、石油化学工業の大部分が戦後海外の技術導入から生まれているのに対し、塩ビは戦前に石油化学以前の国産の技術からスタートしているという歴史的な意味合いから。昭和16年に日本窒素肥料が独自の技術で生産を開始した時から、日本の塩ビの歴史は始まったのです」
塩ビについての具体的な調査としては、平成12年度から技術の発展を示す物品の所在調査と技術の発展を系統化する調査が2年がかりで実施されており、平成12年度は塩ビ樹脂の製造技術、平成13年度は用途・成形加工技術を中心とした調査が行われました。
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