その実験菜園農場のひとつに利用されているのが、塩ビ壁紙メーカーのトキワ工業?(本社:大阪)が開発した「パイン・ブロック」。塩ビ壁紙の廃材をセメントで固めたリサイクル製品で、「樹脂と紙を分離しないでそのまま粉砕加工しているためコストが安く、一般のブロックに比べ軽くて施工が簡単。再リサイクルも可能だ」と、開発を担当しているトキワT.E.C(株)の石坂昌之社長はその利点を説明します。
渋谷区の実験は、マスコミの取材や自治体関係者、一般区民からの反響も大きく、夏場の室温低下効果についても「緑化することにより9℃の差が生じるという期待どおりのデータが得られている」(小嶋主査)とのことですが、今後の課題としては小嶋主査、石坂社長ともに「さらなる軽量化」と声をそろえます。トキワT.E.Cでは既に比重1.2の軽量ブロックを開発しているほか、塩ビ比率を現在の30%から40%にまで高めて、一般家屋やマンションのベランダ菜園での利用を広めたい考え。
「屋上緑化には土壌に至るまで各企業が技術の粋を尽くしている。この技術の普及を目的に、この4月には関係企業が集合してリファームコンサルタント協会を設立する」(石坂社長)
渋谷区のほかにも、板橋区、大田区、墨田区などで緑化実験が予定されているという屋上緑化の試み。ヒートアイランドの解消に塩ビがどんな役割を担っていくのか、今後の動きが注目されます。
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