渡辺教授の講演は、環境問題における様々な“定説”を考え直すことで、真に科学的な「ものの見方とは何か」を問いかけたもの。
話の中で渡辺教授は、
「環境科学はまだ学問としての歴史が浅く、実は殆どの問題で明確な定説はまだできていない。未解明の問題を俗耳に入りやすいホラー話に仕立てて煽るマスコミ報道は、科学というより一種の社会現象、風評の域の話であり、真理と思われている定説でも裏を調べてみると怪しい情報に依っていることが多い」と述べた上で、
「かつて森を枯らす酸性雨が大問題になったが、最近ではマスコミもあまり報じない。森林枯渇の真の犯人は殆どの場合自動車の排気ガスであることが分かってきたためだ。地球温暖化は基本的には太陽活動と都市化の影響だし、データによっては地球の平均気温が殆ど上がってないことを示すものもある」と、具体的な事例を説明。
また、DDTの問題に言及した場面では、「かつて250万人だったスリランカのマラリア患者はDDTのお陰で20人程度に激減したが、散布禁止になったとたん以前のレベルに逆戻りしてしまった。DDTを禁止したことが本当に正しかったのか」として、物事をプラスとマイナスの両面から複眼的に捉える思考の大切さを訴えました。
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